国交省、羽田国際線発着枠はANAに傾斜配分 JALは「到底承服できるものではない」と反発
[東京 2日 ロイター] - 国土交通省は来春増加する羽田空港の国際線発着枠について、ANAホールディングス(ANA)<9202.T>に傾斜配分した。日本航空(JAL)<9201.T>の経営再建の過程で両社の財務体質に格差が生じたため、発着枠の配分によって是正する必要があるとの判断だ。
均等配分を主張してきたJALは、この結果に「到底承服できるものではない」と反発しており、今後のJALの動向も注目される。
羽田空港の昼間時間帯(午前6時─午後11時)の発着枠は、来年3月末から1日当たり40枠増え、このうち約20枠が国内航空会社に配分される予定。米国との交渉がまとまっていないことから、確定している16枠が今回の対象となった。
国交省は、英国、フランス、中国、シンガポール、タイの路線についてANAとJALに1枠ずつ配分したが、ドイツの2枠、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダの1枠はすべてANAに割り当てた。結果、ANAが獲得したのは11枠となり、JALは5枠にとどまった。
会見した国交省の平岡成哲航空事業課長は、行政が現在の状況を放置すれば、航空業界の中期的な競争環境に歪みが生じる恐れがあるため、発着枠の傾斜配分によって是正すると説明した。
ANAホールディングスの伊東信一郎社長は「これまでの経営努力について認めていただいた」とし、「国民の貴重な財産である羽田空港の発着枠を有効に活用し、利便性の向上や訪日需要の創出に真摯(しんし)に取り組む」と述べた。
一方、JALは、この配分結果を受け、「均等から大きくかい離した不公正な内容」と即座に反発。その上で「合理的な説明と内容の是正を国交省に正式に求めていく」姿勢を示した。
羽田の国際線発着枠の配分は、JAL、ANAの2社だけでなく、各国の航空会社の注目も集めてきた。航空会社は国家をまたいで連合を形成し、協力関係を持ちながら世界の路線ネットワークを構築しているからだ。
国交省の平岡航空事業課長は、ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドという航空連合に加盟し、それぞれ中核を担っているとしつつも、この2社が公平な事業環境で競争することが航空連合にとっても重要との考えを示した。
(杉山健太郎 ;編集 山川薫)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら