政府機関閉鎖、オバマ大統領は共和党批判に躍起 最重要政策のオバマケアで妥協せず

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10月1日、オバマ米大統領は、政府機関閉鎖の責任を共和党に負わせようと腐心。写真は米ホワイトハウスで語る同大統領(2013年 ロイター/Larry Downing)

[ワシントン 1日 ロイター] - 与野党の対立で予算が成立しなかった米国では、新年度入りした1日から一部政府機関の閉鎖や職員の一時帰休が始まった。こうしたなか、オバマ大統領は、政府機関閉鎖の責任を共和党に負わせようと腐心している。

オバマ大統領は1日、ホワイトハウスのローズガーデンで「『共和党による政府機関閉鎖』が実際、どのような影響を及ぼすのかは、しばらくしないと分からない」と述べた。

政府機関の閉鎖が長期化し、米国の実体経済が打撃を受けるような事態になれば、国民の怒りがオバマ大統領個人にも及ぶ可能性はある。

ただオバマ大統領は今は、1995─96年の前回の政府機関閉鎖の際に当時のクリントン大統領(民主党)が利用した戦略をとろうとしている。つまり、すべての責任を共和党に押し付ける、ということだ。

世論調査でも、医療保険改革法(オバマケア)修正を予算成立の条件とする共和党の姿勢には、国民も反対していることが示されている。

オバマ大統領の戦略が成功するのかどうかは不透明な部分もある。

クリントン政権下で大統領報道官を務めていたマイク・マッカリー氏は、当時のクリントン大統領がオバマ大統領よりも人気があったことや、1990年代半ばの米経済が、現在よりも良好だったことを指摘。

同氏は、こうした条件においてでも「クリントン大統領(当時)が批判を回避できるかどうか自信はなかった。勝利を確信してはいなかった」と振り返った。オバマ大統領については「慎重さが必要。同じように成功すると思い込んではいけない。しかし国民との意思疎通をしっかりと行い、対立について丁寧に説明すれば、優位に立てる」と述べた。

<静観するホワイトハウス>

今回、最大の争点はオバマケアをめぐる扱いだ。共和党は、オバマ大統領がオバマケアに関する協議を拒否しているとして厳しく批判している。一方、オバマ大統領は、政権が最重要政策と位置付けているオバマケアを守るよう、民主党支持者からも同じく強い圧力を受けている。

大統領がオバマケアをめぐる交渉を拒否していることについて、ホワイトハウス高官らは、応じれば共和党の要求が強まるだけ、と話す。

ホワイトハウスのカーニー報道官は「共和党が、もし政府機関の再開と引き換えに望むものを手に入れたならば、その次には、富裕層向け増税を廃止するよう要求してくるだろう。際限がない」なとど語った。

ホワイトハウスは現在、政府機関閉鎖の影響をただ見守りつつ、共和党が国民の怒りを実感するのを待つ、という戦略に出ているようだ。

以前、オバマ政権の報道官だったロバート・ギブズ氏はMSNBCで「私がホワイトハウスならば、何もせず成り行きを見守る」と述べた。

予算をめぐる攻防が、2014年11月の中間選挙に影響するのは必至だ。中間選挙では通常、政権を担っていない政党が有利とされる。

ニューハンプシャー大学調査センターのディレクター、アンディ・スミス氏は「大統領にとって、政治的な利点がそれほど大きいとは思わない。共和党が深刻な打撃を受けるとは限らない」との見方を示した。

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