米ホワイトハウスが共和党の個別予算案を拒否 歩み寄り見られず、債務上限問題への懸念強まる

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10月1日、米共和党は、閉鎖に追い込まれた政府機関の一部再開を目指し、特定の機関やプログラム向けの資金を手当てする個別予算の成立を提案した。 ただ、ホワイトハウスはこの提案を一蹴している。写真はワシントンのホワイトハウス。9月撮影(2013年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 1日 ロイター] - 予算をめぐるオバマ大統領と野党共和党の対立が深刻化する米議会では、政府機関の一部が閉鎖された1日も事態打開に向けた歩み寄りはみられなかった。

共和党が多数を占める下院では、予算全体ではなく国立公園運営、退役軍人、コロンビア特別区向けの支出を再開する法案が提案された。採決では賛成票が反対票を上回ったものの、優先的に審議する「ファストトラック」扱いでの可決に必要な3分の2には届かず否決となった。共和党は2日に再び採決を試みる方針。民主党が多数を占める上院では否決される見通し。

予算協議の混乱を受け、米国では基本的責務遂行をめぐる議会の能力への懸念が強まっている。10月中旬には、政府機関閉鎖よりも影響が深刻な債務上限引き上げ問題の期限が控えている。

オバマ大統領は政府機関が閉鎖に追い込まれたことについて、共和党は医療保険改革法(オバマケア)を無効にするため政府を人質にとっていると批判。共和党は安価な医療保険に加入する機会を多くの国民から奪う「イデオロギー上の聖戦」のために政府機関を閉鎖させたと述べた。

共和党は、交渉を拒否するオバマ大統領に政府機関閉鎖の影響を論じる資格はないと批判を展開。ベイナー下院議長のスポークスマン、マイケル・スティール氏は、ホワイトハウスの姿勢は偽善的と非難している。

<民主党は個別予算案を批判>

個別予算の3法案はいずれも下院で賛成が反対を上回ったが、可決に必要な3分の2の賛成票が得られなかったため否決された。共和党指導部は、2日に3法案を通常の投票にかける方針。オバマ大統領は、法案が送られてきても拒否権を発動する方針を示している。

民主党は、共和党の個別予算案について、全体の予算確保のための採決を避けるための戦術と批判している。

個別予算案は、茶会党の保守派と穏健派の分裂をとりあえず修復する役割を果たすとみられている。

共和党下院議員の穏健派、ピーター・キング議員(ニューヨーク州選出)は、共和党議員232人のうち100人以上が無条件で全体の政府支出承認を求めるオバマ大統領の主張に賛同する姿勢をみせていると指摘した。民主党議員の支持と合わせると下院での可決が可能となる。

<市場は冷静>

米金融市場の反応は概ね冷静で、1日の株式相場は上昇。投資家は政府機関の再開に向けた早期の合意が可能とみているもようだ。S&P総合500種指数<.SPX>は0.8%高、ナスダック総合指数<.IXIC>は1.23%高で取引を終えた。

ただ、米財務省がこの日実施した4週間物財務省短期証券(Tビル)入札では、最高落札利回りが10カ月ぶりの高水準となった。17日に期限が迫っている連邦債務上限引き上げをめぐる懸念から、10月半ばから下旬に償還日を迎える財務省証券を敬遠する動きが見られた。

議会が新たな予算案で早期に合意できれば、政府機関閉鎖による米経済への影響は限定的となる。

ゴールドマン・サックスの試算によると、閉鎖が1週間で終結すれば米成長率の押し下げは0.3%ポイントにとどまる。しかし、閉鎖が長引けば一時帰休となった連邦職員が支出を控え始めるため、影響は一段と大きくなる可能性がある。

議会の混乱の深刻化を受け、10月半ばに上限に達する連邦債務問題への懸念が強まっている。共和党は債務上限引き上げもオバマケア見直しの機会になるとらえているが、引き上げられなければ米国はデフォルトに陥り、米経済だけでなく世界経済にも影響が広がる恐れがある。

ロイターとイプソスの調査では、米国民の24%は政府機関閉鎖の責任は共和党にあると指摘。オバマ大統領あるいは民主党との答えは19%、46%は全関係者に責任があると指摘している。

 

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