ナイキの知られざる誕生秘話はここまで熱い 2018年の今だからこそ響く創業者の言葉
とはいっても、ストーリーがここで終わるわけではない。それどころか、社名がブルーリボンからナイキに変わり、大きな売り上げをたたき出してもなお、資金不足が解消されることはなかったのだ。
極めて現代的なビジネスマンだ
そこで創業メンバーたちは、「バットフェイス(ブサイク)」という名のミーティングを繰り返し、その結果、1980年にナイキは株式公開を果たす。ここで明らかにされているのは、その時点までのプロセスだ。よって終章では振り返りも多くなってくるが、そんな中でも印象的なのは「ビジネス」について語られた部分である。
そういう意味においては、著者は間違いなくビジネスマンである。しかも、極めて現代的な。
効率や生産性ばかりが重視されていた1970年代にあって、その立ち回りはエキセントリックなものだったかもしれない。しかし2018年のいま、「貢献」「サービス」「幸福」「健康」「安全」「改善」など、著者が記した言葉は、そのどれもが現代における重要なキーワードになっている。
だからこそ本書は、現代の読者に訴えかける極上のビジネス書だといえるのである。しかも、それだけではない。同時にこれは、ひとりの青年の成長を描いたすばらしい青春物語でもあるのだ。そして、「アメリカで反抗を知らないただ1人の若者」だった著者のたどってきた道のりには、読者一人ひとりの経験のいくつかと重なるかもしれない。
読んでいると、少しばかり甘酸っぱいような気持ちになってくるのはそのせいだ。
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