サムスン副会長「経営復帰」で何が起きるのか

贈収賄事件の控訴審で執行猶予付き判決

ソウル高裁は特に、一審で朴前大統領と李副会長との贈収賄の根拠としていた「包括的な懸案(李副会長が父でサムスン電子会長の李健熙(イ・ゴンヒ)会長からの経営を継承する全般的な問題)」に対する「暗黙の請託」はなかったと強調した。

個別の懸案はもちろん、李副会長の経営権承継もまた請託はなかったと見るよりは、「政治権力の要求に受動的に応じた賄賂供与」がなされたと高裁は判断した。

李副会長はこの日、ソウル拘置所から釈放された。「みなさんによい姿を見せることができず、この点を改めて申し訳なく思う。1年間、自分自身を振り返る貴重な時間となった。今後、より注意深く自分を振り返り努力していく」と述べた。李副会長は釈放後、李健熙会長が入院中の病院に向かった。

一方、検察側は「裁判所が正義を見せてくれると思っていたが非常に残念。裁判所と見解が違う部分は上告し、徹底して争う」と明らかにした。

李副会長が釈放され、サムスングループは1年近く続いた経営の空白を解消し、グローバル的な投資の拡大、海外ネットワークの回復を急ぐものと思われる。李副会長が経営活動を当面自粛することになっても、グループレベルでの信頼回復と「第三の創業」に資する将来の青写真を出すのではないかとの観測もある。

サムスンが大型投資やM&A実施の可能性

サムスングループ関係者は5日、「釈放されたことで経営の不確実性が解消される。リーダーシップの空白が解消されることで国内外からの憂慮が払拭され、2017年にはほとんどなされなかった大型投資やM&Aなど、成長エンジンの確保を急ぐだろう」と期待感を示した。

李副会長は出所後、すぐに入院中の李健熙会長を見舞った。李会長は4年前に心筋梗塞で入院したまま。李副会長は出所直後、記者の質問に「いま父親にあいさつをしなければならない」と述べながら、車に乗り込んだ。少しほほ笑んだ後、世論を意識したかのように、すぐに表情を引き締めた。病院に向かう前に、「法の上にカネがあるという指摘があるが」との記者の質問に対し、李副会長は沈黙で答えた。李副会長は父親と会った後、そのままソウル市内の自宅に戻った。

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