米国がイラクをボロボロにして「捨てる」代償

これは新たなる悲劇の始まりかもしれない

2014年、マーリキーはスンニ派のアンバール県に軍を解き放ったが、それがISをイラクに引き入れるきっかけとなった。その後、米国の働きかけもあって、マーリキーの後任にアバーディが就いた。

しかし、米国の期待とは裏腹に、アバーディはシーア派がイラクの司法、軍、警察などの要職を握っている中、統一イラクに向けて、こうした組織においてスンニ派を増やすという努力をほとんどしなかった。

後回しにされ続けたスンニ派

それどころか、アバーディはイラン軍をさらに受け入れ、イラン人12万ほどのシーア派軍隊をスンニ派の中核地域へ送り込んだ。バラク・オバマ前大統領もドナルド・トランプ大統領も、イラクのスンニ派の犠牲のもとに、アバーディと親密に協力して、最終的にイラクのISを壊滅させたのである。

オバマとトランプの戦略は中世的である。イラク内にISがいなくなるまで殺戮し、その後、イラン人やシーア派イラク人たちが意のままにすることを許し、スンニ派を後回しにした。これは、2003年から2011年のイラク戦争からの大きなマイナスポイントである。

今回は、戦闘終了と撤退の間に、政治的な事後処理もなく、国家建設もないのだ。米国はイラクの国内政治には何の関心を払わない。それが、イラン下部組織の排他的なシーア派政府がバグダッドに誕生することを意味していても、である。

スンニ派が多数を占めるクルド人問題を解決するために、暴力的ではない手段もとられた。2017年9月にクルド人たちはイラクからの独立を投票で決定したのだが、彼らは結局、油田が豊富なキルクークを含む紛争地域からシーア派民兵たちがクルド部隊を追い出すのを米政府が傍観する中、自分たちの運命が左右されるのを見届けるはめとなった。

米国が独立を何十年も約束してきたにもかかわらず、クルド人たちは、2003年以前のわずかな自治国家を取り戻しただけだった。そこはかつて完全な独立を保っていた場所である。米国の支援でクルド人たちは、2014年の最も暗黒の日々に、ISの力を削いだ。2018年は、評論家たちが言うところの「クルド人の衰退期」であり、彼らはもはや米政府の外交政策のどこにも組み込まれていないようにみえる。

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