27歳「派遣プログラマー」が貧困に苦しむ事情

月の手取りは10万円、住まいは「脱法ハウス」

いつまでも最初の失敗を挽回できないことに居心地の悪さを感じて退職。その後は、契約社員やアルバイト、派遣社員のプログラマーとして転職を重ねたが、いずれも試用期間の終了とともに契約を打ち切られたり、雇い止めに遭うなどして数カ月ごとの細切れ雇用を繰り返してきた。

「ある会社では『(定刻を過ぎると)すぐに帰ってしまう』とダメ出しされたので、その後の会社では夜遅くまで頑張ったのですが、今度は『用もないのに残業している』と言われました」という。別の会社では、忙しそうな上司たちに迷惑をかけまいと、自分の判断で作業を進めたところ、「なぜ事前に許可を得ないのか」と言われ、契約を打ち切られた。

ジュンさんは「もっと遠慮しないで先輩に頼ればよかったんでしょうか。どこに行っても人とうまくやれなくて……。でも、今思うと、逃げだったし、自分にもわがままなところがあったんです」と反省の言葉を口にする。一方で仕事が長続きしない本質的な原因は自らの「コミュニケーションの問題」だという自覚もある。

数年前に鬱と診断され、心療内科に通院

確かに取材で会ったジュンさんは社交的で快活というよりは、物静かなタイプに見えた。しかし、世の中、空気が読めて打てば響くような対話ができる人ばかりとは限らない。仕事や人間関係においてコミュニケーション能力ばかりが重視され、少しくらい間が悪かったり、口下手だったりする人の居場所がないような社会は不寛容なだけだ。

ジュンさんのプログラマーとしての力量は、これまで、彼の作ったソフトを目にした東京の企業などから複数回、転職の誘いを受けたというから悪くはないのだろう。しかし、引っ越すための費用がないことを告げると、いつも話は立ち消えになってしまうという。3分間日記に登場する意中の女性は東京在住なので、移住したいとの希望はあるが、実現のめどは立っていない。

両親とは電話で話をしても相変わらず「会社の人たちと仲良くできないお前が悪い」「いつまで派遣なんかに甘んじてるつもりだ」「お前の努力が足りない」「この先、どうすんだ? 野垂れ死ぬつもりか?」と責められるばかり。祖父母たちは遠回しに孫の顔を見たいと言ってくる。数年前に鬱(うつ)と診断され、心療内科に通院していることは家族にはとても打ち明けられないという。

会社の同僚らと如才なく付き合えないことの原因が、自身の生育環境と関係があるのかまではわからない。ただ、もし自分が結婚することができたら、「子どもは褒めて育てたい」と話す。

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