ビットコイン暴落でも冷めない日本人の熱気 チャンスにかける個人投資家と取引所
今後、個人投資家にとって期待される材料として、米国のETF(上場投資信託)承認もある。ETFが承認されれば、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)と米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での先物取引に続き、新たな投資家の流入が見込まれる。またマイニングと呼ばれる仮想通貨の採掘事業には日本のGMOインターネットやDMM.comらが名乗りを上げており、仮想通貨の安定的な供給や流動性の拡大が見込まれる。
一方で不安な材料がない訳ではない。各国の規制強化に加え、そもそも現状の相場は「投資・投機化」しており、それが値動きの荒さにつがっている。仮想通貨は日本円やドルなどの法定通貨と違い、国が価値を保証しているわけではない。価値を信用する人たちによって成り立っており、その仕組みを「ブロックチェーン」と呼ばれる技術が支えている。つまり各国の規制強化などネガティブな材料を発端に信用が失われれば、たちまち価格は急落するリスクがある。
通貨と呼べるのか?求められる健全な発展
ただ、新しく仮想通貨を購入しようとしている人たちの多くは、仮想通貨やブロックチェーンの仕組みに価値を見出すというより、単純に値上がり益を見込んでいるケースが多い。
たとえばビットフライヤーの昨年12月における月間取引高は9.5兆円に上るが、そのうち現物取引は1.2兆円で、残りは証拠金を使ったレバレッジ取引(同社の場合は差金決済と先物取引)が占める。レバレッジの最大倍率は15倍だ。これらがすなわち投資・投機に同等するとは言えないが、決済や送金といった通貨本来の利用目的とはかけ離れた取引の実態が浮かび上がる。
昨年6月から仮想通貨を購入し始めた20代のある男性は、「仮想通貨が新しい決済手段になる可能性があるとは思えない。単純な儲け目的で取引をしている」と語る。「国が貨幣の量をコントロールするのは限界がある。ブロックチェーンが通貨の歴史を変える」(別の20代男性)という見方もあるが、少数にとどまっていると言わざるを得ない。
決済や送金の手段として使われなければ、それはもはや通貨とは呼べない。日本では各国に先駆けて昨年4月に改正資金決済法が施行し、仮想通貨を新たな決済手段に位置付けたが、まだ通貨として利用シーンが多くはない。金融庁は否定しているが、今後は金融商品取引法の枠組みに含める必要性を指摘する声もある。仮想通貨は新しい金融システムになるのか、それとも投資家による儲けの道具として使われるだけなのか。業界関係者と当局による健全な発展が求められている。
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