みずほFG、次期社長に問われる「稼ぐ力」 収益力ではライバルのメガ銀行から見劣り

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佐藤氏は、今回の会見でも「今までは証券というと子会社的な扱いだったが、証券を1つの機軸に据えながら、みずほが発展するというメッセージ」と語った。

問われる収益に対するどん欲さ

7年間に及ぶ佐藤社長時代に、グループは大きく装いを変えた。傘下の旧コーポレート銀行とみずほ銀行は合併し、証券会社も統合した。メガバンクの中でいち早く委員会等設置会社に移行し、ガバナンスの強化にも取り組んだ。

一昨年からは銀行、信託、証券などのグループ各社を横断して大企業やリテール、海外などの顧客別に横串を通すカンパニー制も導入した。経営刷新に向けた取り組みはメガでも随一だ。

しかし、収益が追い付いてこないのが実情だ。グループ幹部からは「ガバナンス改革はあくまで手段であって目的ではない。どこかで履き違えてしまったのかもしれない」との言葉さえ出る。

収益力低迷の原因について「収益に対するどん欲さが失われている」との指摘もある。ある中堅幹部は「大企業取引でも『いい提案をすればそれでいい。収益は後から付いてくる』と思っていたら、結局、付いてこなかったというオチだ」と打ち明ける。

坂井次期社長は会見で「適切なリスクテークに対するスタンスが、やや守りの姿勢に傾きがちな面は否みきれない。意識改革しなければボトムラインをしっかり稼ぐ力は身に付かない」と語った。

金融ビジネスは「テクノロジー進化など、数十年に1度の大きな転換期」(佐藤社長)だ。みずほが新たなビジネスモデルを構築し、「稼ぐ力」を創り出せるかどうか、坂井社長の手腕が試されることになる。

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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