野党協力、大きな難題は「原発」と「共産党」 立憲民主党は方向性を明確にしているが

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一方、原発と共産党をめぐる問題は根が深い。立憲民主党は、(1)再稼働は非常時以外認めない、(2)新・増設は認めない、(3)核燃料再処理などは全面禁止といった内容の「原発ゼロ基本法案」を準備している。小泉純一郎、細川護熙両元首相らが打ち出した「原発ゼロ法案」とのすり合わせも進める方針だ。共産党との関係では、「選挙協力」はしないものの、参院の1人区や衆院の小選挙区での候補者一本化に前向きに取り組む方針だ。

これに対して、希望の党は小池知事が一時、「原発ゼロ」を打ち上げたものの、党内には慎重論もある。共産党との協力には否定的だ。背景には、原発容認を掲げ、共産党アレルギーを持つ一部労組の影響がある。

民進党内は原発ゼロに賛同する議員は多いが、電力関係の労組の支援を受ける議員らは原発ゼロを求める動きに強く反対している。共産党との候補者一本化は、「一人区」の議員らは容認、比例区の議員らは慎重という色分けだ。

立憲民主党の方針明確化で議論の整理が進むか

民主党から民進党に党名変更し、自民党に対抗する政党を目指してきた中で長年、指摘されてきたのが、憲法や安全保障、経済政策などで党内がバラバラだという点。政権を目指す中で、とりあえずの合意が作られてきたが、野党に転落すると、再び党内対立が表面化した。民進党が分裂し、立憲民主党、希望の党が発足し、理念・政策の立ち位置も分かれてきた。とりわけ、原発と共産党との距離をめぐって立憲民主党が明確な方向性を打ち出したことで、民主党・民進党時代にあいまいとなってきた路線問題が整理されそうな状況が生まれてきた。

具体的には、立憲民主党が中心となって、(1)原発ゼロの政策をまとめ上げ、大方の野党が結集する、(2)共産党との関係も、選挙協力には至らなくとも市民団体を仲介した候補者の一本化にこぎ着ける、という流れが加速し、希望からも多くの議員が合流することになれば、自民党に対抗できる勢力として有力な選択肢となりうるだろう。

「原発と共産党をめぐる問題を明確にさせるのは容易ではないが、これを克服できれば、自民党に対抗する政党を目指すうえで、大きなステップを上がることになる」と民主党代表経験者は期待するが、その道のりは平坦ではない。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)など。

 

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