ネット炎上を「神対応」評価に変える条件は? エルテスの菅原社長に聞く、最新の炎上事情

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ツイッターの内容が炎上を呼ぶケースもあるが、大企業の場合、操作ミスやコミュニケーションエラーによるミスも炎上を呼びがちだ。

例えば、8月9日にふしぎの国のアリスの画像を使い「何でもない日おめでとう」というツイートを出したディズニーが炎上したケース。原爆投下のあった日に何でもない日と出してしまったばっかりに炎上、すぐに謝罪文を出した。

「それぞれの国のよくない日というのはおぼえておかないといけない。ありとあらゆるリスクを一元化してみるべきだ」(同)

深刻な誤爆被害相次ぎ、取り締まりの必要性も高まる

霞が関ビルにある本社オフィス風景(撮影:今井康一)

東名高速道路でワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した事件。直後からネット上で容疑者に関する個人情報を特定する動きが始まり、その中で容疑者の父親であるかのように書かれたデマが拡散し、石橋建設工業という一企業に嫌がらせや中傷などの電話が殺到、業務に支障が出るなど大きな被害を受けた。

「誤爆が何故起きるか。そのメカニズムとして大きいのは、広告収入を狙っているアフィリエーターの存在。まとめサイトで、これが犯人の家です、犯人の親父の会社ですと流せばトラフィックが稼げる。単なる広告収入狙いなので、誤爆がわかって騒ぎになったらヤバいヤバいと閉鎖してしまう。容疑者の家ですといったら、単に名字が一緒だっただけというのは結構ある。それでも儲けているため、罰則規定をつくらないとなくならない。普通にペナルティを科した方がいい」(同)

誤爆による被害の象徴的事例が、芸人のスマイリーキクチさんのケース。足立区で起きた女子高生コンクリート詰め事件の加害者の一人といった誤った情報が2ちゃんねるに書き込まれたことから、キクチさんのブログに大量の中傷が書き込まれる事態に発展。

足立区出身で加害者と同世代というだけで書き込まれたデマに10年以上にわたり苦しめられた問題は、脅迫まがいの中傷を書き込んだ7人が立件される事件となったが、今後もこうした誤爆は続きかねない。

「ツイッターやフェイスブックで流れてくる情報は裏取りするのが結構面倒。検索エンジンで名前を入れて、5ページくらいまで見ていけば本当かどうか、ある程度わかる。ただ、フェイスブックとかでフィードで流れてきたものを本当かどうか確認する人は意外に少ない。ふーん、そうなんだと鵜呑みにしがちだ」(同)

ただ、こうした誤った情報やフェイクニュースを読んで、直接的な中傷コメントをすれば、それは名誉毀損の罪に問われることになる。

「断定して追記するとアウト。『こんな奴は許さん』と書けば誤爆被害を助長してしまう。例えば、脱税の疑いのあるものでも、東スポ的な『脱税か?』はセーフだが、『8億円脱税』と言い切ったらアウト。ただ、これで巧妙になっていくというわけでもない。バッシングをする者で、ちゃんと考えている人はあまりいないのではないか」(同)

今後もネット炎上に絡んだ被害者、逮捕者は減りそうにないようだ。個人でできることは、軽はずみな書き込み、画像のアップには慎重になること。そして、企業は、適切で素早い対応を心がけるしかないようだ。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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