元日まで9日間!英国鉄道「長期運休」のワケ クリスマスは全国運休、さらにその後も
これほどの長期運休までして、鉄道インフラに手を入れなければならないのにはワケがある。
英国の鉄道需要は、環境対策によるモータリゼーション脱皮の政策が奏功したこともあり、英鉄道・道路規制庁(ORR)によると「第2次世界大戦中の軍需輸送を除いて過去最高の水準」に達している。そのため19世紀後半から150年以上もだましだまし使ってきた線路にはかなりの「ガタ」が来ており、線路改良や信号システムの更新を積極的に行わねばならない状況となっている。
英鉄道、長期運休で生まれ変わる?
ロンドンの空の玄関・ヒースロー空港と市内のパディントン駅を結ぶ空港特急「ヒースローエクスプレス」も、改良工事のあおりで24日から27日までの長期運休の対象となった。
ヒースローエクスプレスは所要時間わずか15分ながら、正規運賃では片道22ポンドと、日本円にして3000円を超える負担を強いられる乗り物だ。とはいえ、初めてロンドンに来た個人観光客が「とりあえずこれで市内へ」と利用するケースが多い。鉄道なら大丈夫と考えていた人には、今回のような長期運休は手痛いものとなるはずだ。
長期運休となったのは、新線との接続に関連した信号システム更新のためだ。ヒースロー空港への線路は、現在建設が進められているクロスレール(エリザベス線)と2018年末までに接続される見込みで、そうなればロンドン中心部と空港との往復が格段に便利になる。長く休むにはそれなりの事情がある、というワケだ。
英国の鉄道は久しく車両更新が進まず、40年以上前に製造された特急車両など、運が悪いとひどく古い列車で旅をしなくてはならない状況が続いてきた。だが最近は、線路の近代化によって電化された区間に時速160km超で走る最新の通勤電車が投入されるなど、改良が進みつつある。
来年の英国の鉄道は、今回の1週間を超える大規模なクリスマス休暇のインフラ改良で「遅れが常態化した鉄道」から脱皮できるだろうか。投入が進む新車とともに、より快適な旅が楽しめるようになることを期待したい。
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