元日まで9日間!英国鉄道「長期運休」のワケ クリスマスは全国運休、さらにその後も

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ロンドン交通局の駅員が扮するサンタさん。この格好で利用客の案内に立っていた(ロンドン・ビクトリア駅で、筆者撮影)

交通局は「市が運営するレンタル自転車はクリスマスでもご利用いただけます」とPRするが、街めぐりには使えてもさすがに空港への足には使えない。「じゃあ、タクシーに乗ればいいじゃないか?」と思う向きもあろうが、そもそもクリスマス当日は正当に割増運賃を取っていいことになっている。

相場感も土地勘もない外国人観光客は、交渉いかんでどんな金額を取られるのか非常に気になるところだが、幸いにもロンドンの場合、事前予約が条件で定額制のハイヤーサービスがあり(いわゆる配車アプリを使ったウーバーとは異なる)、これを使えば、ふだんより割高とはいえ空港への足として安心して利用できる。

首都の主要路線が9日も止まる

イギリスの鉄道は、ビジネスや社会活動が下火となるクリスマスから新年にかけての時期に、一気に信号や線路などのインフラ改良工事を行う。今年2017年は、最も長いところで12月23日から元日までの9日間、連続で全面運休という区間さえある。

今回の「クリスマス休暇の鉄道改良工事」は、英国全体で1億6000万ポンド(約242億円)を投じ、3万2000人ものスタッフが3400カ所で工事を行うという大規模なもの。英国の著名交通アナリストのサイモン・カルダー氏によると「クリスマスの改修では過去最大級のプロジェクト」だという。

ロンドンでは、街を縦断する鉄道「テムズリンク」を軸に郊外へ接続する各線への直通運転が活発に行われていることもあり、今回の長期運休では「テムズリンク」を取り巻く改良がメインで行われることとなっている。9日間運休の対象となっている路線もあり、主な運休区間がロンドン中心部にあるターミナル駅、チャリングクロス駅、キャノンストリート駅およびロンドンブリッジ発着のルートだというのだから驚きだ。

たまたま長期運休が始まる前日の夜にチャリングクロス駅を訪れた筆者は「駅内コンビニでの生鮮品投げ売りセール」に遭遇した。運休中は駅舎そのものを閉めるため、コンビニも強制休業となる。数日間の賞味期限しかない食品を中心に普段ではありえない見切り価格で徹底的に売り尽くさなくてはならない。コンビニ店員は「値引きシールを貼る手間がまったく追いつかない」と嘆きながら作業に追われていた。

次ページ「過去最大級」の工事を行うワケは
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