小田急ロマンスカーGSEの「SE」が不変なワケ

車両の形は変わっても守り続けるブランド

70000形の展望席外側に取り付けられているエンブレム。ここにもGSEの文字が入っている(筆者撮影)

これは「はこね」など列車としての愛称とは別のもの。例えば、2階建て電車がいちばんの売りだった近鉄10100系は「ビスタカー」、豪華さが際だった東武1720系は「DRC(Deluxe Romance Car)」という具合だ。

「〜カー」という呼び名が1960年代を中心に流行したのであった。

小田急海老名検車区で保存されている3000形SE。オレンジ色はロマンスカーのシンボルカラーとして使われ続けている(著作権者:Koh-etsu、ライセンス:CC BY-SA 3.0)

ただ、小田急ロマンスカーが特筆すべき存在である理由は、3000形のデビューから60年間、「SE」を守り抜いていることだ。

愛称付きの車両が次第に流行らなくなり、あるいは愛称が残っている会社でも、例えば東武が最新の特急用電車を「リバティ」と名付けたように、時代に合わせた変化を見せているのとは対照的である。

鉄道界には珍しい「伝統のブランド」

自動車の世界では、たとえばトヨタ自動車の「クラウン」は1955年に販売が開始されて以来、モデルチェンジを繰り返し、現在も販売され続けているといったことは、普通にある。当然ながら、その時代の最新技術と流行を取り入れつつ設計されているため、60年前のクラウンと今のクラウンとでは、完全に違う自動車になっている。だが、トヨタの高級自動車のブランドとして、クラウンは認知されている。

同様の例は、「ボーイング737」(1967年初飛行)のように飛行機の世界にもある。小型双発のナローボディ旅客機という共通点を除けば、ハイテク化が進んだ現代の737は、かつて初めて空を飛んだ頃の737とは、まるで「別物」のはずである。

鉄道の世界では、SEのような例は極めて珍しい。そのわけは、鉄道車両は鉄道会社のオーダーメードが基本だから。メーカーがカタログを用意し、ユーザーはオプションを指定しつつ発注する、つまりはメーカーの意志が優先される自動車や飛行機とは根本的に異なる。

次ページ車両自体は大きく変化してきたが…
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