JR6社、車両故障やミスが最も多いのはどこか 新幹線台車に亀裂、鉄道の安全に"黄信号"

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2016年度における部内原因による輸送障害件数を多い順に並べると、JR東日本、JR北海道、JR西日本、JR九州、JR東海、JR四国という順になる。しかし、各社の営業距離が違うので、直接比較するのは難がある。そこで、同件数を各社の営業距離(営業キロ)で割って算出したところ、100営業キロメートル当たりではJR北海道7.6件、JR東日本4.5件、JR九州3.3件、JR西日本3.0件、JR東海2.2件、JR四国1.8件という順になった。

経営難が輸送障害にもつながる

営業キロ比で最も多かったJR北海道について、部内原因による輸送障害をさらにブレークダウンすると、車両を原因とするものが最も多い。JR北海道は現在、老朽化が激しい車両を廃車して新車に置き換える取り組みを進めている。経営難が続く中、新車購入のために捻出できる資金は乏しいが、安全にかかわる問題だけに避けては通れない。

営業キロだけでなく、年間の列車走行距離の合計である列車走行キロでも比較してみた。この数値が大きいほど、1列車が障害を引き起こす、または出くわす可能性が高いことを意味する。列車走行100万キロ当たりの部内原因による輸送障害は多い順に、JR北海道5.2件、JR東日本1.3件、JR九州1.1件、JR西日本0.8件、JR四国0.7件、JR東海0.4件という結果だった。

JR北海道は輸送障害の件数自体が比較的多いうえに、運行本数も少ないので、高い数値になった。JR東日本は100営業キロ当たりの輸送障害はJR北海道の6割程度だったが、列車走行キロで比較すると、4分の1程度まで減る。つまり、JR北海道の列車に乗っているときに輸送障害に遭遇する可能性はJR東日本の4倍ということになる。JR東海は断トツに低い0.4件。同社の列車走行キロは東海道新幹線が大半を占めており、新幹線が日頃、高品質の運行を重ねていることを如実に示している。

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