JR6社、車両故障やミスが最も多いのはどこか 新幹線台車に亀裂、鉄道の安全に"黄信号"

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通勤などの鉄道利用時に列車が止まったり、大幅に遅れたりするといったトラブルは誰もが経験しているだろう。こうしたトラブルの中には、公表されないままで済まされるものもある。京浜東北線の架線切れに関する説明もJR東日本(東日本旅客鉄道)のホームページには見当たらない。

大きなトラブルになると、国交省への報告が必要なものもある。上記の重大インシデントのほかに、列車衝突、脱線、踏切事故、人身事故といった「鉄道運転事故」、旅客列車が運休または30分以上(旅客列車以外の場合は1時間以上)遅延した事態である「輸送障害」がある。特に輸送障害は鉄道運転事故や重大インシデントと比べて格段に件数が多い。

JR自体に起因する輸送障害を独自分析

輸送障害をもたらす原因は、暴風、豪雨、洪水、地震、津波などの「災害」、係員の取り扱いミスや車両・設備の故障といった「部内原因」、線路立ち入りや自殺など「部内原因でないもの」の3つに分類できるが、今回はJR旅客6社について、JR自体に起因する部内原因だけを抜き出し、直近5年間(2012~2016年度)の発生状況について独自に分析してみた。

5年間で部内原因による輸送障害の件数が増えたのはJR四国(四国旅客鉄道)(14件→15件)のみ。JR北海道(北海道旅客鉄道)(190件→172件)、JR東日本(401件→338件)、JR東海(東海旅客鉄道)(50件→43件)、JR西日本(281件→149件)、JR九州(九州旅客鉄道)(83件→75件)と、各社とも減らしている。

JR西日本の減少ペースはとりわけ速い。12月1日に開催された同社の決算説明会の席上で、「部内原因による輸送障害が大きく減ったのはなぜか」という記者の質問に対して、来島達夫社長は、「一定数のヒューマンエラーはまだ起きている」と答えた。そのうえで、輸送障害が減ったという過去の事象よりも今後、輸送障害をさらに減らすことに力点を置いていることを強調した。だが、新幹線の重大インシデントが起きたのはその10日後だ。経営理念が会社全体には浸透していないことが浮き彫りとなった。

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