今度こそ、「予定通り」の消費増税となるのか 2018年度予算案に隠された布石を読み解く

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ただし、消費増税の使途変更によって、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標の達成は困難となる。

閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」には、「財政健全化の旗は決して降ろさず、不断の歳入・歳出改革努力を徹底し、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持する。この目標の達成に向け、(中略)来年の『経済財政運営と改革の基本方針』において、プライマリーバランス黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を示すこととする。」とダメ押ししている。

2018年6月頃にも取りまとめられる「骨太の方針」には、基礎的財政収支黒字化の達成時期を示すことを閣議決定した。とはいえ、2019年10月の消費増税を3度先送りすると2018年6月までに決められないなら、消費増税を前提とした黒字化を達成する計画を立てざるを得ない文言となっている。

所得増税があるから、その前に消費増税

12月14日に与党決定され、22日に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」では、本連載の拙稿「『年収850万円超の人は増税』がなぜ妥当か」で説明したように、高所得者向けを軸にした所得税改革を行うこととし、実施時期は2020年1月からと決まった。2019年10月に消費増税を行うことを想定したため、所得増税の実施時期をずらしたという経緯がある。

もちろん、2018年度予算は、2019年10月の消費増税と直接的に関係ない。しかし、目安の達成以上には歳出を抑制せず、首相官邸や与党が求める歳出増に”花を持たせた”とするなら、「2019年10月には予定通り消費増税」という誘導が透けて見えてくる。

この予算には、消費増税を3度延期しづらくなる縛りが、1つ1つ埋め込まれている。果たして予定通り、2019年10月の消費増税への布石になるのだろうか。

土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授

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どい・たけろう / Takero Doi

1970年生。大阪大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学社会科学研究所助手、慶應義塾大学助教授等を経て、2009年4月から現職。行政改革推進会議議員、税制調査会委員、財政制度等審議会委員、国税審議会委員、東京都税制調査会委員等を務める。主著に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社。日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『入門財政学』(日本評論社)、『入門公共経済学(第2版)』(日本評論社)等。

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