東京モノレール「20億人達成」に至る苦難の道 京急や高速バスの攻勢に「HKT48」で対抗
こうした厳しい状況下だが、幸いなことに、東京モノレールでは今後あまり大きな投資を伴う事業が予定されていない。インフラ部分も耐震補強がちょうど終わり、現在は浜松町駅周辺の再開発と乗り換え通路の改良工事が行われている程度だ。全体の4割を占める定期客は天王洲アイルを中心にしっかりついている。残る大きな課題はやはり羽田空港への輸送シェアの回復となる。
東京モノレールでは「ビジネス利用のお客様が多く、若年層のお客様は少ない」(東京モノレール・営業課)という利用実態と、空港連絡という立ち位置を鑑み、若年層と地方の人々への広告・宣伝を重要視することにした。そこで、「羽田空港を利用する人が多い福岡で影響力のあるHKT48をイメージキャラクターに採用した」(同)というわけだ。そうすると今回のような力の入ったセレモニーとキャンペーンの実施もうなずける。
広告・宣伝に力をいれるのは京急も同様だ。羽田空港では人気お笑いコンビの有田哲平と上田晋也が登場する京急の広告と東京モノレールの広告がお互いをけん制し合うように貼られており、まさに「激戦」の様相を示している。しかし、人気アイドルグループHKT48を起用している東京モノレールの方がマスコミ動員の面では強そうに思えた。
これからの「挑む」活動に注目
セレモニー内でAKB48・HKT48兼任の宮脇咲良は今年の漢字に「挑」を選んだ。「今年は自分のなかなかできないことに挑戦する1年だった。納得していない部分もあるが、挑戦して得られたものはたくさんあったので、挑戦してよかったと思う」と振り返る。
先ほど述べたように利用者はここ数年横ばいだ。東京モノレールも広告・宣伝の結果としては宮脇咲良と同様に「納得していない」部分もあるだろう。しかし、今後もこうしたイベントや広告・宣伝を続けていくことにより、認知度が上がり、利用者増という結果が得られるのではないだろうか。
特に今回の乗車20億人達成にあたっての一連のイベント・キャンペーンはターゲットとしている若年層に対して、格好の広告・宣伝の場となる。小栗彰社長は路線の魅力に「楽しさ」を挙げていた。東京モノレールの車窓は独特の視点から眺めることができて確かに楽しい。まずは無料でもいいので乗ってもらい、楽しんでくれればリピーターになってもらえるかもしれない。そういった意味では無料乗車デーは「挑戦的な」イベントでもある。
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