ビットコインの本質とは、いったい何なのか 仕組みを知らずして何も語ることはできない

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木本:それは何のためでしょう。

中島:それがリバタリアンの発想で、真ん中のサーバーに管理されるのがいやだという発想。だからみんなが平等にデータを送り合って、取引をし合うという仕組みにしましょうというのが、そもそもの発想です。

木本:一部の偉い人たちに管理されないように、平等にやりましょうというのがP2Pネットワークだと。これだけ聞いても、僕らからすると、志ある、すばらしいとそこも思って食いついてしまうんです。権力が介入しないんだというね。

ブロックチェーンはなぜ安全なのか

中島 真志(なかじま まさし)/1958年生まれ。1981年ー橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調查統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、2017年10月現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。単著に『外為決済とCLS銀行』『SWIFTのすべて』『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』『証券決済システムのすべて』『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。最新刊『アフター・ビットコイン』(新潮社)がベストセラーに(撮影:尾形文繁)

中島:もう1つ、ここが肝心なんですが、「ブロックチェーン」という技術が使われていて、それがビットコインの安全性を確保する仕組みになっています。これは、一種の帳簿であり、ブロックの中に取引データの束を入れて、1個ずつ確定させて、時系列にチェーンのようにつないでいきます。

木本:ブロックを鎖のようにつなげていくからブロックチェーン。一つひとつのブロックに何かが記録されていくんですか。

中島:1つのブロックに10分間分の取引データが入っています。10分に1回、取引を確定させていく仕組みなんです。

木本:誰かのところでじっとしているビットコインは10分間何も記録されないけれど、僕が中島先生に渡したら、それが記録されると。

中島:はい、そういう取引が10分で約4000件の束になって、10分間でガチッと固められて、また10分経ったら同じことを繰り返します。それがどんどんとつながっていくのですが、前のブロックのデータの圧縮値を次のブロックで使うので、あるブロックのデータを書き換えると、その後のブロックをすべて変えていかなければいけなくなるので、事実上、偽造や変造ができません。

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