ウーバーの日本市場攻略が行き詰まったワケ

ライドシェアに反発のタクシーと連携模索も

海外展開を進める中で、各国でタクシー業界による反対デモも起きている。中国の滴滴出行(ディディチューシン)やインドのOla Cabs(オーラキャブス)のような「現地版ライドシェア」の登場など、今後成長する上で乗り越えるべき壁は高い。

日本市場はどうか。2012年に進出し、2014年に都内でハイヤーとタクシーの配車サービスを開始したが、現在「ウーバータクシー」は数が非常に少なく“幻”の存在だ。地方では高齢者向けに交通手段を提供する事業を行うが、交通空白地2カ所にとどまる。2016年には、都内や横浜のレストラン1000店舗と提携して始めたデリバリーサービス「ウーバーイーツ」は人気だ。しかし、肝心のライドシェア事業は遅々として普及が進まない。

雇用維持でタクシー業界が猛反発

2015年にウーバーが福岡県で行った実証実験では、国土交通省から実験中止の指導が出た。2016年には富山県で予定されていたウーバーサービスの開始が、地元タクシー会社の反発により急きょ中止となった。

特に33万人の雇用問題を懸念するタクシー業界からは厳しい反発を受ける。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の富田昌孝名誉会長は「ライドシェアに対し、一丸となって闘う」と断固反対の方針を示し、与野党の議員連盟や、自治体などへ陳情を繰り返す。全タク連は事前運賃確定や定期制度、相乗りタクシーなど11項目にわたる新事業の目標を設定し、都内でも実証実験を進める。

東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長は、東京都市部の初乗り運賃を引き下げるなど、サービス向上に力を入れている(撮影:大澤 誠)

東京ハイヤー・タクシー協会は川鍋一朗会長の音頭で、東京都市部(23区と武蔵野市、三鷹市)の初乗り運賃を2km=730円から約1km=を410円に引き下げ、割安感を演出。「ちょい乗り」需要を開拓した。

川鍋会長が経営する国内大手の日本交通は、自社のシステム開発子会社Japan TAXIを軸にIT化を加速させている。他社と提携した配車アプリ「全国タクシー」は、400万ダウンロードを達成。川鍋会長は「(ウーバーなどの)ITサービスには見習うべきところがある」と話し、ライドシェア対策に余念がない。

そもそも日本では、ライドシェアサービスは求められているのだろうか。去年、総務省がまとめた調査では、日本人のライドシェア利用意向は2~4割と諸外国に比べて低く、特に20~30代の抵抗感が顕著だ。タクシーを割高な料金を払って使うサービスととらえる人の中には、「他人が乗ってくるのは気が重い」と考える人もいる。

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