丸亀製麺社長「高時給だけで人は集まらない」 高卒者の正社員も増員し、店舗網拡大を狙う

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丸亀製麺では店舗ごとにできたての商品を提供している(写真:トリドールホールディングス)

──外食業界の正社員は異業種に比べても離職率が高いといわれています。

当社でも一定の離職者が出ているのは間違いないが、同業他社よりは少ない印象だ。新入社員でもいち早く活躍できる場を与えている。すぐに成果を出した社員が、入社後6カ月で店長に昇格するケースもある。

また、長時間労働にならないように上司が勤務状況を把握し、休暇を取れるように留意するなど、定着率向上に向けた努力も継続していく。

来店客数を伸ばすのが重要

粟田貴也(あわた・たかや)/1961年生まれ。学生時代のアルバイトで起業資金を貯め、1985年に焼き鳥店「トリドール三番館」開業。2000年に「丸亀製麺」第1号店を出店(撮影:尾形文繁)

──人員を増やすと、人件費負担が重くなりませんか。

人件費や原価高騰を意識して人員を減らしてしまうと、サービスが弱体化する。その結果、顧客の不満が募って来店頻度が下がり、売り上げが落ちる。この「負のスパイラル」が続くと店は存続できない。コスト削減から戦略を組み立てると、経営の方向を間違えてしまう。

肝心なのは売り上げを伸ばすことだ。常連客のリピート率向上や新規顧客の獲得など、来店客数を伸ばしていけるかが、最も重要だ。トリドールはセントラルキッチン(食材仕込み工場)を採用していない。あえて人の手をかけ、店舗ごとにできたての商品を提供している。こうした考えは「すべては、お客様のよろこびのために。」という経営理念に基づいたものだ。

──「顧客への奉仕精神」がいちばん大事ということでしょうか。

いや、それは違う。あくまで売り上げを上げることが重要で、そのための手段が「顧客に喜んでもらう」ということだ。売上高、利益を上げるために全社員が顧客満足度を上げていくことを理解しないと、われわれの成長は続かない。売り上げと無関係な経営理念には何の意味もない。

(『週刊東洋経済』12月2日号「トップに直撃」を転載)

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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