「JR北海道の路線維持」国はもっと関与すべき 自助努力や沿線による支援には限界がある

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JR北海道の特急「スーパー北斗」。特急高速化など同社も努力は続けてきた(写真:IK / PIXTA)

JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」として10路線13区間を公表したのは2016年の11月28日。それから1年が経過した。これまでのところ、これらの路線をどう維持するかについての話し合いは、進んでいるとはいえない。

同社の厳しい状況は深刻さを増すばかりだ。11月7日に発表した2017年度の第2四半期決算では、営業赤字がこれまでで最大の146億円に。単体では北海道新幹線の運輸収入が前年同期比で15億円減少するなど、鉄道の減収と修繕費の増加により21億円の経常赤字となった。ホテルや札幌駅の商業施設が好調だったため、連結では14億円の経常利益を確保したものの、関連事業でなんとか経営を支えている状況だ。

JR北海道の路線維持問題は、いまどうなっているのだろうか。

「自助努力が必要」

JR北海道と北海道、北海道市長会、北海道町村会のトップは10月29日、2回目となる4者協議を行った。一部報道では、ここで北海道の高橋はるみ知事がJR北海道に対し「自助努力」を求めたとされている。

これは沿線自治体の1つの声でもあるだろう。高橋知事は会談に先立つ10月27日の会見で、JR北海道の問題について報道陣に問われた際、「沿線の方々と話をしていると、JR北海道に対する厳しい指摘が多い」として、その1つに「JR北海道の自助努力」を挙げ、JR北海道は「グループ会社全体として、収益の拡大を図って、それを経営再生に活かしていくという積極的な取り組み姿勢が、あまりないのではないかというご指摘が1つあると思います」と答えている。

JR北海道は経営改善のための自助努力が必要なのではないか――。経営危機が叫ばれるようになって以来、そのような指摘は続いている。

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