「退屈な文章」があなたの価値を台無しにする 大量に送るメールこそ、型通りではいけない

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そこで私は、原稿に「音」を付け加えました。彼女は救急車で運ばれているとき「頭から血が流れて、ちゃぷちゃぷという音がして『私はこのまま死んでしまうんだ』と思った」と話してくれました。これこそまさにその場にいた当事者、「犯人だけが知っている情報」です。

頭から出血すると「ちゃぷちゃぷ」って音がするんだ……と、取材時に私は本当に驚きました。経験したことがある人にしかわからないこの「証拠」を原稿に入れることで、言葉に説得力が増し、その文章の価値があがります。

「五感の情報」は価値が高い

多くの方にエピソードを聞く手法でまとめた佐藤友美さんの近著『道を継ぐ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

もしビジネス文書に応用するとなると、

「R社の新しいスマホカバーは、肌に吸い付くようなフィット感を感じる」

「この音声認識ソフトは、早口の私の言葉も全部拾ってくれる」

「寒さで指も曲げられないような零下25度の状況下で製品の耐性実験を行った」

といった表現になるでしょうか。

「肌に吸い付く」「早口の私の声も聞き取る」「指も曲げられない寒さ」などが、経験したからこその情報、つまり「犯人だけが知っている情報」になります。

「経験情報」で価値が高いのは、特に五感の情報です。音やにおい、食べ物を食べたときの食感や、何かを触ったときの手触り、その場の温度や空気感などを伝えることができたら、それはあなたにしか伝えることができない価値の高い情報になります。

たった一文付け加えるだけで、文章に差がつくコツをお伝えしました。ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。

佐藤 友美 ライター・コラムニスト

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さとう ゆみ / Yumi Sato

1976年北海道知床半島生まれ。テレビ制作会社のADを経て文筆業に転向。元東京富士大学客員准教授。

書籍ライターとして、ビジネス書、実用書、教育書等のライティングを担当する一方、独自の切り口で、様々な媒体にエッセイやコラムを執筆している。

著書に8万部を突破した『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『道を継ぐ』(アタシ社)など。理想の男性は冴羽獠。理想の母親はムーミンのママ。

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