報告書を読んだ人が次にその取引先の人と会ったとき「パーティ、盛況だったそうですね」と言うのと、「パーティでの社長のあいさつが感動的だったそうですね」と言うのでは、その後の会話の広がり方が変わります。
これが、あなたがわざわざその現場に足を運んだことで生み出した報告書の「価値」になります。
「犯人しか知らない情報」をまぶすと価値があがる
最後に紹介したいのは、「犯人しか知らない情報」をまぶすことです。実際に経験した当事者しかわからない五感を交えた情報は、何にもまして価値の高い情報です。
人は、自分の代わりに時間を割いて何らかの体験してくれた人からの情報に価値を見いだします。ガジェットの新商品レビューにアクセスが集まるのも、YouTubeの「やってみた」動画の再生回数が高いのも、この原理です。
ビジネス文書でも、この「経験した人にしかわからない情報」をまぶしていきましょう。私は、このような情報を「犯人だけが知っている情報」と呼んでいます。といっても、これは私が創作した言葉ではなく、島田紳助さんの言葉です。
■当事者にしか言えない「証拠」
以前、島田紳助さんが、オール阪神巨人さんの漫才について話をしたことがありました。その中で紳助さんは「阪神巨人さんのすごいところは、観客に漫才の設定を信じさせてしまうことだ」と語っていました。
阪神巨人さんの漫才はよく「この間、1万円拾ってんねん」といった状況設定から始まります。そして、その話は「雨が降ったからだと思うけど、その1万円、ぴたーっとアスファルトにくっついてんねん」と続きます。
この「ぴたーっとアスファルトにくっついていた1万円」という、現場にいないとわからないような表現が、「犯人だけが知っている情報」です。
こういった情報が「証拠」として提示されると、ありそうにない設定でも「ひょっとしたらこの人は、本当にそういう経験したのかもしれない」と信じさせることができます。
もちろんビジネスシーンで創作した情報を伝えるのはご法度ですが、「その場にいた証拠」を提示して事実に対する説得力を増す方法は、仕事にも応用できます。
■音、におい、温度、手触り……の情報に価値がある
具体例を話しましょう。
先日あるインタビューで、取材相手の女性が高校生のときに交通事故にあい、人生観が大きく変わったことを知りました。そのときのことを「交通事故にあって九死に一生を得た」と書くのは簡単ですが、それだけでは、彼女が人生観が変わるほどの恐怖を感じたことまでは伝わりません。
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