JT、「加熱式たばこ」の増税案浮上で募る不安 寺畠次期社長は「巻き返す」と強調するが・・・

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一方、加熱式たばこは「パイプたばこ」に分類される。紙巻きたばこ1本のたばこ税額(約12.2円)をそのまま課すのではなく、たばこ葉が詰められたスティックやカプセル、フィルターを含めた重量1グラムを紙巻き1本に換算し課税する。

たとえば、アイコスの主力製品の重量は1箱当たり15.7グラム。それに基づいて、紙巻きたばこ15.7本分(約192円)が課税されている。対してプルーム・テックはたばこ葉を粉末状に近づけるなどして、重量はわずか2.8グラムと、紙巻きたばこ2.8本分(約34円)しか課税されていない。プルーム・テックの税額は消費税と合わせても約68円にとどまる。

「プルーム・テックは構造が複雑なため原価は割高だが、それを差し引いても手元に残る粗利は圧倒的に多い」(野村証券の藤原悟史アナリスト)

加熱式も増税対象に

今回、紙巻きたばこの増税に比例して加熱式たばこの税額が上がっても、重量が軽いプルーム・テックへの影響は限定的だ。

だが税調関係者によれば、18年度の税制改正では新たに加熱式たばこの税区分が設けられる方針だ。新区分では、これまでのような重量に加え、小売価格も課税の基準となる。プルーム・テックの税額については、紙巻きたばこ1箱の約7割の水準まで引き上げられる案が有力という。その場合、現在約68円の税額が190円台に増えてしまう。

11月21日、就任発表会見に臨んだJTの寺畠正道次期社長は加熱式たばこについて、「まだ勝負は始まったばかり。われわれの製品のよさを理解してもらえれば、必ず巻き返せる」と強調する。ただ、税制改正の行方によって、状況は大きく変わりそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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