坂本龍一は、「仕事」をどう考えているのか 記録映画を通して見る、世界的音楽家の日常

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――完成したこの作品はどうでしたか。

コンパクトにできたんでよかったですよ。よくまとめたなと思います。コンパクトに作るということは、相当編集をうまくやらないといけないわけだから。

――坂本さんにとっての仕事ってどんなものでしょうか。

それこそワーカホリックだった30、40代のときなんかは仕事のことしか考えていなかった。だいたい昼の12時から夜の12時まで、12時間仕事して。そこから朝まで飲みに行く。で、3、4時間寝て、また昼から仕事をして、という生活を何年もずっと続けていました。

――寝る時間は3、4時間くらい?

そうですね。だいたい1週間のうち6日間は、夜から朝までずっと飲んでいた。だいたい7時ごろに帰ってましたが、盛り上がっちゃうと11時ごろまでということもありました。

――それは朝の、ということですよね。

そう、朝です。ニューヨークに行く2、3年前までは、毎日のように現・幻冬舎社長の見城徹氏を付き合わせていました。彼は「もう帰らせてくれ」と泣いてました(笑)。

30、40代のころは仕事のことしか考えてなかった

締め切りや進捗を考えながら、仕事の時間管理は自分で決めるという (C)2017 SKMTDOC, LLC

――そんな生活に変化が出てきたのは、いつごろからでしょうか。

やはりひとつはニューヨークに移住したということが大きいですね。夜遊びをしなくなったから。今ではほとんど外出もしなくなりましたね。見城のように心底付き合ってくれるヤツもいないし。まあ、探せばいるのかもしれないけど。

――仕事の時間管理はどうしているんですか。

時間の使い方は自分次第ですね。何時から初めて、何時までやるのか。今日のノルマも自分で決めるしかない。1枚のアルバムを作るにしても、たとえば何月までに作ろう、ということになったら、ほかにも最近、こういう仕事が入ってきたから、ここまでしか時間がとれないぞという感じで。自分で決めるわけです。映画の場合はいつまでというのが決まっているので、向こうの予定に合わせるしかない。そうすると、どうしても1日に何時間やらないと間に合わない、ということになります。

――自分がイニシアティブをとるアルバム制作と、頼まれ仕事である映画音楽とでは時間のペース配分も変わってくるわけでしょうか。

自分の仕事の場合には、やりたくなければやらなくていいわけですよ。だからいつまでも終わらないわけ。だから自分で無理して締め切りを決めるんです。僕は『async』というアルバムを8カ月くらいかけて作ったわけですけど、作りながら考えていたことは、どこでやめるか、ということ。それを決めないと、いつまでもやり続けてしまうから。

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