授業料330万円!「米エリート幼稚園」の教育

高い授業料は割に合っているのか

こうした特殊な施設に加えて、遺跡の発掘作業や彫刻、プログラミングなどユニークな活動を取り入れているところ多い。たとえば、シカゴにあるベネット・デイ・スクールには、「ティンカーラボ」と呼ぶ、ベニア版や厚板、穴が空いたボード「ペグボード」などが壁に埋めこまれた教室がある。園児たちはここで互いに協力しながらさまざまなプロジェクトを行い、経験に基づいて知識を得ていく。

また、同幼稚園では毎朝、「モーニングミーティング」を開き、園児は「今日は何をするか」をここで発表するという。ちなみに、ベネットは入園料が2500ドル(約28万円)、授業料は年間2万4205ドル(約270万円)である。

ベネットのように「現場主義」を取り入れている幼稚園は珍しくなく、多くのエリート幼稚園がたくさんの「体験」ができるようなフィールドワークや遠足、宿題、課外授業の開発に勤しんでいる。子どもの頃から多くの体験をさせることで、複数の才能を開花させるだけでなく、より人間性の豊かな人に育てたいと考えているようだ。

エリート幼稚園に通わせる親の言い分

とはいえ、5歳児に年間3万ドル近くかけて、ここまでレベルの高い教育を受けさせる必要はあるのだろうか。

「イエス」と答えるのは、マージョリー・スミスさんだ。スミスさんの娘は、マサチューセッツ州ボストンにある私立幼稚園に通う。学費は年間ざっと3万ドル(約330万円)。スミスさんに言わせると、「信念を持っている成功者で、子どもにもきちんと投資をしている保護者とネットワークを作ることはとても重要なことだ」。

幼稚園を選ぶうえでは、教育の質や環境、少人数クラスでの個別指導、幼稚園がグローバルな視野を持つかどうかを重視したという。今では、娘が「同じような価値観や考え方を持った子どもたちに囲まれている」ことに満足。3万ドルの投資はムダになっていない、と話す。

一方、同じく私立のエリート幼稚園に2人の子どもを通わせていたクレイディス・ブラウン氏(仮名)は、上流幼稚園の考え方になじまなかった。子どもたちが通っていたのは、体験型の学習を取り入れることで有名な幼稚園で、近くの農園で野菜を植えるなどの活動に力を入れていた。また、自由遊びを通じて想像力を培うという教育方針のため、あえて学力をつけるような教育は行っていなかった。同校の最大の目的は、のびのびとした子どもを育てることにある。

当初、ブラウンさんにはこの教育方針は理想的に見えた。息子はプレスクールから8年生までこの学校に通わせたが、その投資結果は満足できるものではなかった。「8年生を終えたとき、息子と(ほかの学校に通う子の間に)学力の差があることがわかった」とブラウンさんは言う。そこで、下の娘については、3年生の時点で公立校に転校。今では、彼女の学力に満足しているという。「早く転校決めてよかった」とブラウン氏は胸をなで下ろす。

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