「アドフラウド」は動画広告をも襲っている 悪徳業者たちが成長著しい領域に襲来

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悪徳業者がだまし取るのは広告主のお金であるため、アドフラウドの問題はバイサイドから提起されることが多い。広告費の4分の1を無駄にしてもかまわないと考えるマーケターは、どこにもいない。だが動画広告におけるアドフラウドは、実はパブリッシャーをも苦しめる。パブリッシャーにお金が流れなくなり、広告料が下がるからだ。

悪徳業者は、広告在庫のバイヤーをおびき寄せるために、偽装URLを利用したボットのトラフィックやインプレッションを格安で販売する。これにより、動画の広告在庫は安く買えるものだという認識がバイヤーたちのあいだに広まっているが、実際には高品質な動画広告在庫はいまだに高価格だと、動画広告プラットフォーム企業、スポットXのグローバルオペレーション担当シニアバイスプレジデント、ジョシュ・キャリブ氏は指摘した。

バイラルメディアであるリトル・シングスにおいて最高デジタルオフィサーを務めるジャスティン・フェスタ氏は、「プレミアムパブリッシャーは、オープンエクスチェンジで本来得られるはずの広告料を、アドフラウドのおかげで得られなくなるのではないか」と、懸念を表した。

業界全体への影響は

できるだけ多くの広告主を受け入れられるようにプログラマティックプラットフォームを設計すると、広告サプライチェーンが複雑化し、悪徳業者が身を隠せる「死角」が生まれる。デジタル広告の登場から20年以上が経つが、アドフラウドはいまだにしぶとくはびこっている。特に動画では、問題は徐々に深刻化しているようだ。

「動画広告におけるアドフラウドは、明らかに拡大している」と語ったのは、アドベリフィケーション企業、ダブルベリファイの最高執行責任者、マット・マクローリン氏だ。とくに第4四半期は、広告主が年度目標を駆け込みで達成しようとするため、広告に投じられる資金が増加する時期だ。そのため、この時期にはアドフラウドが通常より増えるかもしれないと同氏は指摘した。

あるバイヤーは、動画広告に関しては、パブリッシャーと直接やり取りできるプライベートマーケットプレイス(PMP)でしか広告在庫を買わないと匿名を条件に打ち明けた。買い入れ先をPMPのみに限定すると、入手できる広告在庫の数は大きく減る。それでも、オープンエクスチェンジでアドフラウドの被害に遭うリスクを冒してまで、広告在庫の数を増やす意味はないと、そのバイヤーは話した。

セルサイドはどう考えているのか。リトルシングスのフェスタ氏は、動画に関しては広告主がPMPを好んで選ぶことに気づいていたという。PMPのほうが透明性が高いからだ。

「ただし、PMPが問題を完全に解決してくれるわけではない。長期的には、ads.txtなどの対策を講じていくことで、オープンマーケットからアドフラウドを一掃し、動画広告の透明性を高める必要がある」と、同氏は語った。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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