田園都市線「地下区間」トラブル続発の理由 開業から40年、進む施設の老朽化
田園都市線、特に地下区間がほとんどを占める二子玉川―渋谷間約9.4kmでは、この1年ほどの間に停電や発煙などのトラブルが相次いでいる。
10月19日には池尻大橋駅の隣駅、三軒茶屋駅で停電が発生し、9時過ぎから約3時間運転を見合わせたほか、7月7日には渋谷駅付近のトンネル内で信号関係のケーブルから発煙、その約1週間前の6月29日には桜新町駅で消防用の送水管が破損して水がトンネル内に吹き出した。2016年の8月にも桜新町駅で信号設備の故障が発生している。
東急によると、2016年度から現在までに発生した、列車の運行に30分以上支障を及ぼした輸送障害のうち、同社の責任によるものは今回のトラブルを含めて13件。このうち田園都市線は10件と群を抜いて多く、中でも二子玉川―渋谷間の地下区間での発生が6件だ。
開業40年、進む老朽化
二子玉川―渋谷間は1977年4月に「新玉川線」として開業し、今年で開業から40年を迎えた。同社鉄道事業本部・安全戦略推進委員会の森智雄統括部長は「一概には言えないが、開業から40年が経ち老朽化が進んでいる。ほかの路線は輸送力増強工事などで施設のリニューアルを行っているが、田園都市線の地下区間は手が付いていなかったのは事実」と、老朽化が相次ぐトラブルの一因となっていると認める。
だが、「今回の事象は老朽化とは別と考えている」(森氏)。その理由は、今回ショートしたき電ケーブルが交換後8年と比較的新しいためだ。ケーブルの耐用年数は約30年で、通常は20年ほど使うという。
ケーブルの被膜が破れた原因は調査中だが、10月10日に行った目視での検査では異常は見つからなかったといい、地下区間では可能性のある漏水なども「現場付近ではなかったと聞いている」(森氏)。10月に起きた三軒茶屋駅の停電でも、原因となったケーブルは交換してから12年で、こちらも老朽化ではないと考えているという。
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