外国人が萌える「ニッポン」はどこにあるのか ゴールデンルートがすべてじゃない
一方、ノーなのは、こうした地域は、日本のほんの一部にすぎず、ほかの場所に目を向けずに、こうした場所だけを訪れて満足するのは、多彩な文化や食、自然に恵まれた日本を本当に発見し、体験できる機会を逃してしまうからだ。日本は巨大なメトロポリスであり、「いかにも」な観光地もたくさんあるが、それ以上に奥深い国なのである。
実は筆者もかつては外国人だった(2016年に、日本に帰化)。だからこそ、日本をよく知る「元外国人」として、かつての同胞に本当の日本を知るために訪れてもらいたいスポットを今回は2つ紹介したいと思う。もちろん、このリストは個人的なものであり、日本をよく知る外国人でほかの場所を挙げる人もたくさんいるだろう。
それでも、これが日本を訪れる外国人だけでなく、日本人にとっても、日本の奥深い魅力を知ってもらうために、どういう場所をアピールするべきか、という点で参考になればと思う。
初めて食べた讃岐うどんの衝撃的なうまさ
香川県
日本人にとっては言わずと知れた「うどんの郷」である。実は初めて訪れた際、大して期待をしているわけではなかった。「うどんはどこで食べてもうどんだろう」と思っていたからだ。が、それが、違った。麺はすべて慎重に手作りされ、出しは家族に代々伝わる秘伝のレシピで作られており、それまで食べたうどんとは格が違った。
開店前から扉の前に長い客の列ができる有名店の大半は、1日に1、2時間しか営業しない。うどん1杯60円から100円ということも珍しくなく、「はしごうどん」ができるような、すぐにお腹いっぱいにならないミニサイズのものを提供する店も多い。初めて讃岐うどんを食べて以来、私は岡山か四国北部に行くときは、必ず讃岐に寄り道するようになった。
香川が魅力的だと思う理由の2つ目に挙げられるのが、瀬戸内国際芸術祭である。高松・岡山間の島々と海岸沿いを取り囲み、3年ごとに開催される大規模な現代美術のフェスティバルだ。これらの島々がある瀬戸内海は、日本で最も眺めの美しい場所の1つで、さまざまな形の青々とした島が散らばり、曲がりくねった水路を、フェリーやクルーズ船、漁船が行き来する。
訪れた者はそれぞれの島で、世界でも極めて有名で個性的なアーティストの屋外常設展示や、美術館を楽しむことができる。日本いや、世界中からこの芸術祭に世界各地からやってくる人々や、こうした漁業をなりわいとする小さな島が持つ独特の雰囲気、そして開放感のある芸術祭の空気――これらが混じり合った空間はクリエーティブで、気楽な日本人の一面を教えてくれる。
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