外資金融マンたちの黄昏 欧米系はリストラ続行中、若手は“奴隷"に悩む
――それでも外資系金融マンは「高給取り」という印象です。
優秀な人材には高い給料を払い続けているようです。年収を下げると競合他社に移られたり、取られたりする。日本における外資系金融機関のレベニューが落ちている中で、日本におけるリストラの理由にもなっています。
就職先の魅力が落ち、プロも転職を逡巡
――かつては外資系金融機関に、優秀な学生が殺到しました。就職先としての魅力は?
今も志望者の絶対数は多い。ただし、魅力は落ちているという印象です。当社が日系金融機関の優秀な若手に対して外資系投資銀行への応募を薦めても、最近では断る若手が多くなりました。以前では考えられなかったことです。外資系のプロも転職を逡巡する。
最近、外資系の投資銀行本部に10年程度勤務した若手が「理由もなく」自主退職して話題になっています。当社が認識しているだけでも20人程度に上ります。彼らは競合他社に引き抜かれたのではなく、事業法人や商社に転職したのです。
外資系投資銀行の若手は「奴隷」と呼ばれ、毎日深夜まで残業している。「将来に希望が持てない」「事業法人のほうが世のため、人のためになる」などと考えて、辞めてしまう例が出ています。外資系金融機関では報酬水準が下がり、最近では革新的な商品が生み出されておらず、強みは所属している会社が持っているもので、自身が発案したものではないと感じているようです。つまり、ルーティーンをこなしている感覚と。
――ただ、日本の若手の金融マンでグローバルバンカーを目指し、外資系投資銀行への転職を探る人も少なくないでしょう?
外資系投資銀行の選考では、バックグラウンドや英語力、質疑応答がポイントになります。バックグラウンドに問題がなくても、英語力は外資系投資銀行が求めるレベルではなく、応答の仕方で落選する例が少なくないようです。
応答の稚拙さもありますが、性格に野性味が感じられず、厳しい環境で生き残れるとは評価されないようです。日本の若手金融マンは、みんな同じ顔をしています。男性なら驚くほどイケメン。裕福な家庭に育ち、塾に通い、テクニックで受験をくぐり抜けたような人たち。受験は答えが一つですが、世の中には答えがたくさんあったり、なかったりする。それで悩み、うつ病になる人も少なくない。こうしたひ弱な人材が多いのですが、これは学歴偏重の採用方針が要因と思われます。
――外資系金融機関の日本における存在意義とは?
日本の銀行や証券会社には、本格的な投資銀行とみなされるビジネスがなく、外資系金融機関の投資銀行部門が担っています。投資銀行は自らリスクを取って、内外市場のリスクマネーを大手企業や機関投資家のニーズに沿って加工し、リスクを縮小して提案します。これは融資を兼務とする商業銀行や証券を転売する証券会社には難しいビジネスとなります。
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