希望の党、帰結が「大民進復活」では酷すぎる

2人の「敗軍の将」の進退に際立つ後味の悪さ

こうした野党陣営の混乱を見透かしたように、政府与党は26日、首相の外交日程などを理由に11月1日召集の特別国会の会期を8日間とする案を野党側に提示した。これに対し野党側は安倍晋三首相の所信表明演説やこれに対する各党代表質問、さらには衆参両院での予算委審議に「森友・加計問題」での集中審議や証人喚問などのために必要な会期を要求した。首相や自民党執行部は特別国会の会期延長などで柔軟に対応する姿勢を示しているが、希望の党の本格執行部発足が特別国会閉幕後となったことなどから、与党側は年内は閉会中審査などでお茶を濁し、本格論戦は年明けの通常国会まで先送りする構えも隠さない。

選挙の結果、野党はますます細分化した。衆院野党第1党の55議席は与党(313議席)の6分の1強に過ぎない。選挙前は野党第2党だった共産党の議席減で無所属の会が第3勢力となるため、このままでは来年通常国会での党首討論では枝野、玉木(希望の党・共同代表に選出された場合)、岡田(民進党・代表選出の場合)3氏が首相に論戦を挑むことになる。そうなれば党首討論というより前国会までの予算委での民進党質問とまったく同じメンバーだ。

「大民進党復活」という悪い冗談にも現実味

政権への次の国民審判の舞台となるのは2019年夏の参院選だ。野党陣営が小党分立のまま戦えば、また自民圧勝となるのは目に見えている。ただ、無所属の会の仲介で民進出身者が多い立憲民主と希望が再合流すれば、まさに「大民進党」復活という"悪い冗談"が現実となる。一方、希望の党が"純化路線"で立憲民主などリベラル勢力との連携を拒否して「もう一つの保守党」を目指せば「ミニ自民党という与党の補完勢力となるのが関の山」(自民長老)だ。

希望の党の当選者50人のうち民進党離党組が49人、希望の党公認はわずか1人でしかも比例単独の新人だ。小池氏側近で結党に深くかかわった若狭勝前衆院議員は、小池氏おひざ元の東京10区で自民、立憲民主両党公認候補の後塵を拝して比例復活もならず、政界引退を表明した。小池氏が代表を続投しても「国会議員に委ねる」とした党運営は民進出身議員がすべてを仕切ることになる。その意味ではすでに実態は「ミニ民進党」ともいえる。

希望の党の選挙総括でも、ほとんどの民進出身議員は「自民1強政権打倒」という前原氏の目的については「本物だった」と評価した。しかし、前原氏のいうように「政治はすべて結果責任」だ。「歴史にイフ(if)はない」のは政界でも常識だが、もし小池氏が国政進出の野望にこだわらず、前原氏が「民進党解党」などの奇策を断念していれば、選挙結果は様変わりした可能性も否定できない。

立憲・民進共倒れとなった小選挙区で両党の得票合計が自民を上回るのは60か所以上もある。首相が国政選挙5連勝で自民党総裁3選を果たした場合、「最大の貢献者は小池、前原両氏」(首相経験者)というブラックユーモアとなるのでは、小選挙区や比例選で希望に投票した有権者はまったく浮かばれないことになる。

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