希望の党、帰結が「大民進復活」では酷すぎる 2人の「敗軍の将」の進退に際立つ後味の悪さ

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その一方で、民進党が27日午後に開いた両院議員総会も25日の希望の党両院議員懇談会と同様に前原代表への責任追及の声が噴出した。「突然の希望合流方針が党内の混乱を招いた」「公認条件をめぐる小池氏との詰めが甘かった」などの批判で、前原氏も「結果責任はとる」として代表辞任を表明した。ただ「特別国会を前に、一定の方向性を決めた上で、私は辞任し、新たな執行部の下でスタートを切ることが大事ではないか」と即時辞任を否定したため、出席議員から「まず辞任するのが先決」などの反発が相次ぎ、党本部と地方組織を維持することを確認した上で代表辞任について30日に改めて両院議員総会などを開いて「結論を得る」ことで最終決着を週明けに持ち越した。

党内では後任代表に岡田克也元代表を推す声が多く、前原氏辞任を受けた30日の両院総会で岡田氏が新代表に選出されるとの見方が広がる。岡田氏は民主党時代も含めると4度目の代表就任となり、まさに「昔の名前で出ています」(自民幹部)だ。同氏は野党第3会派となる無所属の会の代表として立憲民主党との統一会派結成や希望の党離党者の受け皿となる一方、希望、立憲民主両党の「結節点」となって自公政権に対抗する「野党の大きな塊」づくりも狙う構えだ。

民進存続で100億円超す「貯金」も温存

参院民進党は、離党して立憲民主党幹事長に就任した福山哲郎元官房副長官など一部議員を除いて40人を超える大所帯を維持しており、岡田氏の代表復帰などで国会議員60人規模の野党最大の国政政党として 活動を続けることになる。とくに、選挙前から話題となった100億円を超えるとされる同党の「貯金」や党事務局を温存することで、組織や資金面では立憲民主や希望を圧倒する存在となる。2019年春に統一地方選、同年夏に参院選が控えていることもあり、連合との協力関係も含めて地方議員や地方組織も民進党のまま存続するため、「野党の核は結局、民進党」(自由党幹部)ともなりかねない。

希望の党に「排除」されたことを逆に追い風として、衆院野党第1党に大躍進した立憲民主党は、選挙直後に枝野代表が「数合わせなどに加担したら、期待はあっという間になくなる」として無所属組との統一会派結成も拒否し、リベラル勢力の旗頭として自公政権と対峙する立場を鮮明にした。首相指名候補となる枝野代表には社民党も投票する方針で、共産党内にも「枝野氏投票論」が浮上している。「ダブル不倫疑惑」を跳ね返して勝ち上がった山尾志桜里元民進党政調会長の入党などで衆院野党第1党の地歩も固める構えだ。

ただ、枝野氏の盟友として今回選挙に立候補し比例復活で初当選した青山雅幸氏(静岡1区)が、選挙直後に週刊誌で元女性秘書へのセクハラ疑惑が報じられたことで、同党は慌てて青山氏の無期限党員資格停止処分を決めた。想定外の不祥事発覚に枝野氏も困惑を隠せず、メディアが大々的に報じたことで新党としての爽やかイメージもダウンした。希望の党と同様に党運営のための資金調達や事務局を含めた党本部作りも「すべてこれから」(党幹部)というのが実態で、名実ともに「野党第1党」となるにはなお多くのハードルが待ち構える。

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