永遠に未完?「横浜駅」工事はいつ終わるのか 「日本のサグラダ・ファミリア」と人は呼ぶ
建築家アントニ・ガウディが設計したサグラダ・ファミリアは1882年に着工、財政難に加え、複雑な形状や規模の大きさから当初は完成までに300年以上かかるといわれていた。しかし近年、観光客の増加による財政状態の好転や建築技術の発達で工期が劇的に短縮され、ガウディ没後100年に当たる2026年の完成が見込まれている。バルセロナのシンボルは足かけ144年を経て、ついに完成を迎えることになる。
一方で横浜駅はどうか。現在、市が進める横浜駅の大改造計画は2030年ごろまで続く。1872年の横浜駅開業から数えれば実に158年ということになる。
では、横浜駅もサグラダ・ファミリアと同様に、絶え間ない工事で未完の状態が続いているのだろうか。JR東日本は「当社が絶え間なく工事をしているということはない」。しかし、他社の工事状況も合わせると、利用者からそう見えてしまうかもしれないという。おそらくほかの鉄道事業者の回答も同様だろう。横浜駅の工事を管掌する市の担当部署なら全体を把握しているのではないか。そう考えて問い合わせてみたが、回答は「まちづくりに関する工事しか把握していない」(横浜市都市整備局)。
つまり興味深いことに、市や鉄道会社の間では過去にわたり横浜駅の工事の全体像を知る人は存在しないことになる。なお、市当局の関係者は「横浜駅の歴史を振り返れば、ほとんどの時期で工事が続いていた状態になると思うが、1日も途切れなかったかどうか、つまり一時的にでも完成したことがなかったのかどうかはわからない」と言う。
一旦作られた工事計画もそのとおりに進むとは限らない。10月23日にはJR東日本が再開発を進める西口鶴屋町ビルの計画変更が行われた。当初案では駐車場が主体だったが、商業施設やホテルも設置する計画に改まった。首都圏のホテル不足に対応し、集客機能も高める。駅はその時代に合わせて、ふさわしい形に変わっていく。
長期の工事は美観を損ねる
時代は動いているのだから、つねに最適な姿を目指して工事を行うのは当然だろう。ひょっとしたら2030年にはまた別の工事が始まっているかもしれない。しかし、工事が長期にわたるなら、工事中の駅は仮の姿ではなく、むしろ真の姿といってよい。だとしたら、工事の囲いはもっとデザイン性を高めてもよいし、案内表示や通行の動線にももっと気を配ってほしい。
横浜駅再開発に関する関係者会議で取りざたされたサグラダ・ファミリア問題。委員が懸念していたのは、絶え間なく続く工事そのものではなく、工事が長期にわたって美観を損ねており、それが横浜駅のイメージダウンにつながりかねないということであった。
東京駅は復原工事の結果、大人気の観光名所となったし、現在工事中の渋谷駅も完成後は眼下にスクランブル交差点を見下ろす世界的な観光名所になるはずだ。横浜駅は大改造工事が終わったら観光名所になるのだろうか。工期の長さではなく、建物の魅力でサグラダ・ファミリアと競うような駅を目指すべきだ。
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