公営競技やパチンコ、実態は賭博解禁済み? 麻雀プロ弁護士が賭博について問題提起
――認められている賭博とはなんでしょうか?
競馬などの公営競技は認められている賭博です。パチンコも事実上の公認賭博といえるでしょう。こうした賭博を認めているにも関わらず、個人間の賭博を処罰の対象にしているのは不均衡です。さらに今後カジノができるとなってくると、はたして時代に適合しているのかという問題も生じます。現実と法律が矛盾しています。
――公営競技やパチンコは、依存症などの問題もメディアや有識者から指摘されています。
もちろん、依存症対策しないといけません。しかし、依存症対策と単純賭博罪の存在は関係がないと考えています。
――単純賭博罪を撤廃したら、ギャンブル依存者は増えないのでしょうか?
日本はすでにできる賭博が山ほどあるので、今さら「単純賭博罪」を撤廃したからといって、依存症の患者が増えることとは関係ないはずです。それくらいに、日本では手軽に賭博ができる状況なわけです。むしろ日本が「賭博大国」であることを公認したうえで対策を取ったほうが状況は良くなるでしょう。
あと、私が撤廃するよう主張しているのは個人間でおカネを賭ける行為を規制する「単純賭博罪」です。
賭博場を開いて利益を得る「賭博開帳図利罪」はまた別の話です。規制の態様はどうあれ、公の規制を一切受けない賭博は反社会的勢力排除の観点からも規制していくべきでしょう。
――友だち同士の賭博は「入り口」にならないのでしょうか?
友だち同士のささいな賭博は、事実上警察は摘発しません。捜査機関向けの文献にもそうあるべきと記載されています。繰り返しますが、「単純賭博罪」はほとんど使われていない法律なんです。合意に基づく個人間の遊びを国家が刑法で取り締まるというのは法理論上おおいに問題があります。
――一般的に「賭博」という言葉のイメージが悪い。
たしかに、度が過ぎた賭博は好ましくありませんが、それはお酒なんかでも同じでしょう。昨今メディアで話題になっている不倫も好ましい行為ではありませんが、刑法上、規制されていません。だけど、パチンコと不倫だったら、不倫のほうが社会的に糾弾されていますよね。
おカネを賭けない「麻雀」の楽しさ伝えたい
――賭博開帳図利の規制はどうあるべきでしょうか?
民営の賭博場も将来的には認めていいと考えています。公安委員会などを絡ませた許可制を導入して、未成年の入場などを厳しく制限すべきでしょうね。
民営の賭博場を認めると、裏カジノなどアンダーグラウンドな賭博場が世の中から淘汰されます。正規の賭博店があるのに、裏カジノに行くわけがありません。たとえば、アメリカではかつて禁酒法時代に密造酒が作られていましたけど、禁酒法が撤廃されたら、密造酒はだれも飲まなくなりました。
禁止するのではなく、規制してコントロールしたほうがいいんですよ、こういうのは。そうすることが反社会的勢力の締め出しにもつながります。ほらね、私は規制論者でしょ(笑)。