「英語が自然に身に付く子」がしている学習法 子どもならではの強みを生かすべし!

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一方、日本に住んでいる子どもに「私が苦労したから、子どもには早くから英語を学ばせたい」との思いから、大人と同じような方法でアルファベットを覚え、単語を覚え、文法を学ぶようにするとどうなるでしょう。中学生になる前に英語嫌いにしてしまう可能性があります。幼いときに歌やゲームで楽しく英語に触れていたのに、読む・書くが始まった途端に英語嫌いになり、「英語」と聞いただけで拒否反応を起こしてしまうようになったという話もめずらしくはありません。

それでは、日本で生活している子が、英語を身に付けるにはどうすればいいでしょうか。最も効果的なのは、母語の習得に近い形で身に付けることです。それには、まずは日常的に「英語を聞く」ことが望ましいです。

母語と同じように聞くことから

人間は生まれてから毎日、母語を耳にして育ちます。母親のお腹の中にいるときから耳にしているとも言われるくらいです。母親が赤ちゃんに話しかける言葉や、夫婦が話している言葉、そしてテレビから流れてくる言葉……赤ちゃんは生まれてからというもの、大量の母語の音声に囲まれて生活しています。

そして4、5カ月頃の喃語(なんご)から始まり、単語、1語文、2語文へと発語は進んでいきます。発語を始めた頃は、母親にしか理解できないこともありますし、最初から2語文、3語文を話す子どもはいません。

この母語の発達を考えて、英語も同じように聞くことからスタートします。聞く内容は自然な英語、つまり最初から普通の文章になっているものです。話す速さもナチュラルスピードで大丈夫。自然な英語の音声を聞き、英語の音声に慣れ親しむことが必要です。子どもが興味をもって耳にできるもの、たとえば歌や物語などの音声作品がいいでしょう。じっと聞き続ける必要はありません。生活の中に流れていて心地よい内容がいいと思います。

ではどれくらい英語を聞いたら身に付くのでしょうか。それは人によって異なります。母語の発達も人によって違います。同じ親の元に生まれた兄弟姉妹でも、発語の過程は違います。ですから「○○時間聞いたら英語がわかる」というような基準は存在しません。

けれども英語を耳にする量が多ければ多いほうがいいということは言えるでしょう。1人目のお子さんよりも、2人目以降の弟妹のほうが、発語が早いのは、家庭の中での会話の量が多いからです。英語圏に生活するくらいの英語の量に触れるのは難しいですが、できるだけ英語に多く触れるチャンスを作るといいです。

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