小池知事お膝元「池袋」が激戦地になった事情 希望の党の若狭氏が楽勝と見られていたが…

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鈴木庸介候補を応援する立憲民主党の枝野幸男代表(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

立憲民主党の鈴木庸介氏は、枝野幸男代表を招いて午後4時半から池袋西口で街宣を行った。鈴木氏は昨年10月の衆院補選で若狭氏と争い、前述のとおり7万5755票対4万7141票と大差で負けている。

9月末、民進党が希望の党への合流を決めたことから、鈴木氏も希望の党に行く選択肢はあった。しかし、希望の党の大幹部である若狭氏と選挙区が重なること、さらに「政策協定書」に書かれた内容が自身の考えに沿わないことから断念。「政治の師」である長妻昭元厚労相を頼って立憲民主党に参加した。

共産党が独自候補

豊島区生まれの豊島区育ちとして一気に票を獲得したいところだが、現実にはなかなか難しい。言うまでもないことだが、民進党の支持層は、希望の党にも流れる。そのうえ、昨年の補選では水面下で鈴木氏に協力した共産党が、今回は独自候補である岸良信氏を擁立している。東京10区内でおよそ2万あると言われる共産票が得られないとなると厳しい。

ただ、この街宣に、連合東京の岡田啓会長が顔を出していた点は、明るいニュースといえるかもしれない。

連合東京は昨年の衆院補選で鈴木氏を応援したが、同時期に行われた新潟県知事選で、民進党の蓮舫代表(当時)が「勝ち馬に乗ろう」と原発反対の米山隆一知事の応援に入った。これに電力総連を傘下に持つ連合は強く反発したとされている。電力総連には、東京電力や関西電力の労組が加盟しており、反原発には消極的だ。

これにより当初は鈴木氏を支援し、第一声を上げた時には挨拶までした岡田会長だが、投開票日前日の「マイク納め」には姿を見せなかった。今回の街宣で岡田会長は挨拶をせずにそのまま立ち去ったが、鈴木氏にとって心強い応援であることは間違いない。

希望の党の旗揚げにより、にわかに注目の選挙区となった東京10区。以上の4名のほかに、幸福実現党の吉井利光氏、無所属の小山徹氏も立候補している。小池知事は自身のおひざ元の議席を守ることができるだろうか。12日間の熱い戦いが始まった。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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