「休まない上司」が部下の迷惑でしかない理由 「ブラック」な残業と「ホワイト」な残業の差

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言い換えれば、「たとえ自分が1カ月の長期休暇を取っても、何事もないように回る組織」をつくり上げることこそ、マネジャーの役割であり、価値なのです。日本の場合はフランスやドイツのように1カ月の長期休暇とまではいかないかもしれませんが、1週間や2週間の連続休暇を取る。これは、マネジャーとしての役割を果たしている証しです。

また、マネジャーがいなくても組織が回る仕組みをつくるための重要なポイントは、まず自分の後継者を計画的に育てておくこと。そして自分がいなくても、メンバーが自立して仕事ができる状態にまで育て上げるということです。

「ブラック」な残業と「ホワイト」な残業

「ブラック」な働き方の代表的なものといえば、残業です。残業が起こる理由は、一般的には次の2つに集約されます。

(1)突発的な仕事が発生して時間外であっても対処せざるをえない
(2)残業をすることが前提となった働き方になってしまっている

まず、前者の場合。これはどんな仕事をしていても、必ず起きる事態です。

終業時間も間近になって、緊急に対処せざるをえない案件が発生した。あるいは顧客からのクレームが入り、大至急で対応しなくてはならない。こうした場合でも、就業時間を超えた仕事は、確かに残業ですが、これは削ろうとして削れるものではありません。相手がいることだからです。

ただ、残業の目的や緊急性が明確なので、「もう時間外だから対応できません」という理屈が通じないことは、ほとんどのメンバーが理解できるはずです。想定外の事態であっても、チーム一丸となって迅速に対応する。そんな残業は、「ブラック」の対極にある「ホワイト」な残業といえるかもしれません。メンバーの中には「緊急事態をみんなで乗り越えた」という一体感やチームの団結力を感じる人もいるでしょう。

残業はすべて「ブラック」なもの、すべてが悪であるというわけではなく、こうした「ホワイト」な残業もあるということは明確にしておきたいところです。

さて、問題は後者の、いわば「構造的」な残業。これこそが「ブラック」な残業です。

これはたとえば、だらだらと仕事をすることによって、本来なら時間内に収まるべき働き方をしていない、あるいは現状の人員に対してそもそも仕事量が多すぎるといった場合です。しかし、こうした状況で、マネジャーが残業しているメンバーに対して「彼は努力している」「彼女は組織に対して忠誠心の高い、大切な人だ」と評価することが往々にしてあります。

こうした「構造的」な残業が多いことと、マネジャーがそれを評価する風潮があることが問題なのです。

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