京王「調布駅前」新施設でイメージ刷新なるか

現在の空間は「安藤忠雄」デザインの広場に

周辺商店街での消費額の落ち込みも懸念される。これに対しては「調布駅前から盛り上げる会」が「エキモリマップ」を作成し、各商業施設などに置いている。マップに掲載されている飲食店ではシアタス調布のチケット提示でサービスを受けられるようになっており、駅周辺地区への人の広がりを促している。

そして沿線のまち同士での人の奪い合いも懸念される。トリエ京王調布は最大5km圏内を商圏として想定しているというが、今度は府中や千歳烏山といった沿線のほかのエリアとの住み分けが難しくなりそうだ。「府中は店舗サイズや業態も異なり、商圏設定も異なるため住み分けは可能」(杉本支配人)と言う。とはいえ、府中は最近駅前再開発の総仕上げとなる施設「ル・シーニュ」が開業したばかりで、今後、府中と調布で客の奪い合いになる可能性もある。

区画整理中の稲城駅周辺(筆者撮影)

一方で筆者は調布に新たな拠点が設けられたことで京王相模原線沿線にプラスの影響があるのではないかと予想する。沿線には開発余地もあり、実際、稲城駅の南側では大規模な土地区画整理事業が行われている。さまざまなものがそろう拠点駅が近隣にあるという印象を与えることは「選ばれる沿線」作りには極めて重要な戦略だ。

足元の調布も活性化すると思われる。これまでは調布駅は12万人の乗降客があるにもかかわらず、大型商業施設がパルコくらいしかなかった。そのため、さまざまな用事をすませるような「行き先」としては少し魅力に欠ける場所であった感は否めない。しかし、今回のトリエ京王調布の開業で、さまざまな年齢層に対応したテナントが増えたことや映画館の復活、飲食店の増加で「行き先にしやすいまち」になりうる。パルコとトリエ京王調布は雰囲気も異なり、むしろ相乗効果が見込めそうだ。

安藤忠雄が駅前広場をデザイン

残るはA館とB館のつなぐ駅前広場の整備だ。かつて駅舎があった場所で、現在は殺風景なコンクリート舗装の景色が広がっている。

市が進める調布駅前が整備の完成予想図(調布市提供)

現在ここは調布市が施主となって整備を行っており、安藤忠雄建築事務所が設計を手掛けている。同事務所は同じく調布市内の仙川駅近くで建築群を手掛けており、その折に調布駅前広場の計画を知ったという。プロポーザル方式による選考を経て2008年から広場の設計に着手し、市民と意見交換のうえ作られた「庭園広場」というコンセプトでデザイン・設計を行っている。また、調布駅前の既存樹木の保存を求める声もあり、そうした市民の声を取り入れた設計変更も何回か行った。

完成は東京オリンピック後とまだまだ先だ。この理由について調布市都市整備部街づくり事業課の担当者は「ロータリーの工事は運用と並行して行うため時間がかかる。また、ラグビーワールドカップや東京オリンピックの際に駅前でイベントを開き、賑わいを創出したい。そのため両イベントの期間中は工事を抑制する」と説明する。完成すれば緑豊かでイベントスペースや大屋根の目立つ現代的な駅前広場が現れる予定だ。

このように、調布の駅前再開発が完成するのはまだ先の話だ。駅周辺の整備が完了したとき、調布のイメージはどのように変貌しているのだろうか。

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