京王「調布駅前」新施設でイメージ刷新なるか 現在の空間は「安藤忠雄」デザインの広場に
駅前広場の西にあるB館には「ビックカメラ」が入る。ここにも京王電鉄の「こだわり」が見られる。トリエ京王調布建設にあたり、沿線住民に対し2度のアンケートを行ったところ、要望が多かったのが「映画館」と「家電量販店」だったという。その結果誘致されたビックカメラは都内では赤坂店以来の出店。女性を意識した家電量販店として自転車、フィットネス用品やお酒を1階に展開している。
B館から市役所通りを挟んでC館が立っている。ここが最もトリエ京王調布らしい施設である。建物の前には4本のレールが埋め込まれている。これは元々地上を走っていた京王線、京王相模原線のレールを示すもので、京王線の線路跡の先には「てつみち」と名付けられたパブリックスペースが設けられている。ここは子供たちの遊び場やちょっとした時間を過ごせる木製の大きないす、サイクルポートなどが置かれている。開業初日に訪れた際には、早速子供たちが思い思いに遊ぶ姿や数人の中学生がいすに座ってゲームに興じる姿が見られた。
パルコと競合するのか?
C館の2~5階にはシネマコンプレックス「イオンシネマ シアタス調布」が入居している。調布は1930年代と50年代に映画の撮影所が作られたことで映画関連企業が立地しており、映画スターも市内の飲食店を訪れていたようだ。
こうした経緯から過去には映画業界出身の市長が誕生したり、「映画のまち調布」をPRするイベントが度々行われていたりしていた。今回のシネマコンプレックス設置も先述のアンケートで最も多かったという要望を受けてのことだ。
このシネコンは11スクリーン・約1650席を有し、普通のシートだけではなく、体感型のシアター「4DX(R)」やシネマ専用最高級シートを全席に配置した「Gran Theater」がある。こちらもかなり意欲的な設備だ。現在は「角川&大映映画祭」を行っており、ここでも調布との地域密着を感じた。
1階にはカフェ「猿田彦珈琲 調布焙煎ホール」が入居する。同チェーンの8店舗目となる店舗で、ここはコーヒーの焙煎機が備えられているのが特徴だ。オーナーは調布市内出身で、「出店できたことに大変喜んでいた」(猿田彦珈琲・広報)。
開業初日は大変にぎわっていたトリエ京王調布。初日の来場者は約10万人(京王電鉄・広報)と上々の滑り出しだ。しかし、駅前にこうした大型商業施設ができることにより心配されるのが周辺への影響である。まず懸念されるのは駅前に立地する「パルコ調布」の売り上げ減少だ。
「パルコさんと重複しないようなテナント選定を行った」(トリエ京王調布の杉本大輔支配人)というが、ターゲットとしているのは同じく女性でメインの年齢層も比較的近いように見える。そんなトリエ京王調布の進出に対して、パルコでは2015年からリニューアル工事を行い「ユニクロ」や「無印良品」の増床を行っている。
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