「10月に日本株を買うと儲かる」は本当か 過去21年間のデータで検証してみた

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これは、2011年10月安値(1万0655ドル)から2015年5月高値(1万8312円)までの上昇幅7657ドルを、2016年2月安値(1万5660ドル)に加えた水準です。2日の終値からは3.4%程度上昇することになり、日経平均株価の3日の終値(2万0614円)から同じ率を上昇させると、2万1300円程度になります。日経平均の1株当たりの利益が1410円程度なので、PER(株価収益率、株価÷1株当たり利益)で見ると、15倍程度まで買われることになります。

短期的な上値としてはいい水準のような気もしますが、ただその水準だと、すぐに到達してしまいそうです。もし、来年3月まで持つのならば、もっとダウ平均が上昇を続けるほうがいいに決まっていますが、どうなるでしょうか。

「米国発の3つのリスク」とは?

さて、米国発の下半期のリスクを3つほど挙げておきますと、まずは景気動向が挙げられます。2日に発表された重要指標の1つである9月ISM製造業景況感指数は60.8と、13年4カ月ぶりの高水準となりました。かなり強い数字であり、おおむね連動してきた日経平均株価を押し上げる要因になりそうです。ただし、2000年以降のピーク水準(60~61.4)に入ってきたという点では、やはり下半期はどこかでピークアウトの懸念もありです。

次は、リスクの周期です。恐怖指数といわれる米国のVIX指数はリスクが高まると、上昇します。VIX指数は2015年夏場以降、おおむね100日前後(80~120日)で高値の周期が訪れていて、今度は直近高値であった8月10日から数えること80~120日後で12月~2018年1月になります。そのあたりに、またリスク回避になる局面がやってくる可能性が高く、それを消化していけるかどうかです。

最後は、前回もお話しいたしました米国のIT・ハイテク株の動向です。アップル、ネットフリックスなどの主力株が、米主要3指数が高値更新するなかでも、不安定で弱い動きになっています。短期的には戻る可能性があったとしても、たとえば、ダウ平均が2万3000ドル台の高値まで上昇する過程で、高値を超えられなければ、次に下げるときは大きな調整になると思います。

ほかにもリスクはたくさんありますが、以上のようなことが顕在化しなければ、ダウ平均の上昇はしばらく続く可能性が高く、日本株の来年3月までのパフォーマンスも良好になることが予想されます。

最後にお知らせがあります。私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のために、ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏を東京と大阪にお招きし、セミナーを開催いたします(11月18日(土) 東京・鉄鋼会館、同25日(土)大阪・梅田スカイビル)。

もちろん、日本語の通訳もつきます。ボリンジャー氏が自ら開発した「武器」を使って日本株を分析すると、どのように映るのでしょうか? 今後は上昇でしょうか、それとも下落でしょうか。実は、筆者もボリンジャー氏を囲むパネルディスカッションのパネラーとして参加し、意見させていただきます。ご興味のある方は、ぜひこちらからお申し込みください。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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