ドンキ「4Kテレビ」は第2弾も速攻で売れるか 部品の供給元は非公表、3カ月で後継機が発売

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前回の大ヒットを受け、開発を担当した寺尾氏とSPA開発本部・サブマネージャーの水橋晃司氏の2人は、すぐに後継モデルの調達に走ったという。商品が圧倒的に足りず、店頭で機会ロスが発生しているという認識があったためだ。今回、メインボードのメーカーは非公表だが、大きな仕様変更はしていないようだ。調達の素早さから考えると、前回と同じく「レグザ」を展開する東芝映像ソリューション製とみられる。

第2弾の4K液晶テレビを担当した水橋氏(左)と寺尾氏。寺尾氏は次のテレビ開発では60型や65型などさらに大型の液晶テレビを開発してみたいと意気込む(記者撮影)

もちろん、本家とは異なり、ドンキのテレビが機能を絞っていることは事実だ。

他社製品が導入するHDR(ハイ・ダイナミック・レンジの略で明るいところをより明るく鮮明に表示する機能)が非対応であったりする。今回も、5万円台という価格と性能のバランスを取り、「そこまで高価でなくてもよいから4Kテレビがほしい」という消費者のニーズに応える方針だ。

ドンキは現場の責任者に仕入れ権限を委譲しており、商品構成を各店が決める個店経営が特徴だ。前回の機種については、各店舗からの反応も上々だった。「普段、テレビなどの大型家電を扱わない店舗からも後継機種をぜひ扱いたいという問い合わせが相次いでいる」(寺尾氏)。今回のモデルについては、具体的にどの店舗に何台導入されるかは未定で、予約販売も実施しない見込みだ。

「ドンキの家電」の注目度がアップ

テレビ目当ての客が店を訪れることで、既存店の活性化にもつながっている。6月以降、ドンキの家電事業の売り上げも伸びているのだ。テレビだけでなく「ドンキの家電」に対する認知度が高まっているといえる。

「8月に発売したアクションカメラ(税別4980円、防水対応のフルHDカメラ)もヒット商品となった。ドンキのプライベートブランド(PB)は最安値で展開しており、圧倒的な強みがある。商品数を増やし、ドンキにしかできない付加価値をさらに高めていきたい」と水橋氏は話す。

家電製品などに代表されるPBは粗利益率が高く、ドンキにとって欠かせない利益成長のドライバーだ。2017年6月期はPBの売り上げが828億円で全体の11%だった。これを2020年までに15%に高め、SPA(製造小売業)としての体制を強化する。売上高も2020年に1兆円(2017年6月期で8288億円)という目標を掲げているため、PBは1500億円規模に成長させる計画だ。

8月の決算会見で、大原孝治社長兼CEOは4KテレビのようなPB商品が成長していることを取り上げ、「消費者のニーズはあるが、メーカーが作れないものをPBで作っていく」と語っていた。瞬間蒸発したテレビの後継機種をすぐさま販売したドンキ。テレビ以外でも多くのヒット商品を生み出していくのか。拡大を続けるPBから目が離せない。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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