文章のヘタすぎる人が知らない「悪文」の正体 わかりにくさや違和感にはすべて理由がある
(1)の文が抱えている問題は、文章の意味がふたとおりに解釈できることだ。アナウンサーだったのが東氏なのか、聡子夫人なのか判然としないのだ。もしアナウンサーが東氏なら、「アナウンサーだった東氏の、」と読点(、)を入れる、聡子夫人なら「東氏のよき伴侶で、アナウンサーだった聡子夫人」と語順を入れ替え、さらに読点を加える必要がある。
アナウンサーだったのが聡子夫人だった場合の理想例は以下のとおりだ。
(2)の文の問題は、語順に違和感があることだ。日本語は英語や中国語に比べ、語順があいまいだ。だが、だからといって何でもいいわけでは、もちろんない。パッと聞いてわかりやすい語順のルールがあるのだ。理想的な語順については、ジャーナリストの本多勝一氏がロングセラー書の『日本語の作文技術』の中で明快かつ鋭い分析を披露している。
長い修飾語はなるべく前に
詳細は実際に読んでいただきたいが、この例文に関しては、「長い修飾語(私がいらだつほど大嫌いな)を文中に置いている」のが問題。長い修飾語はなるべく前に持ってくるのがよいので、この文を「私がいらだつほど大嫌いな駒井を」で始めるのが理想的。また文書であれば、「駒井を」の後に読点を打つとより読みやすいだろう。理想例は以下のとおりだ。
③の問題は、主語と述語の関係がねじれていることだ。現状では、主語「新サービスは」には、「話題となった」「好評を博した」「期待している」の3つが述語だ。だが3つ目の「期待している」は、述語としてふさわしくない。ヒトではない新サービスが、何かを期待することはないからだ。
この場合は、「好評を博した。」と一度文を区切り、「これにより、売り上げは前年度比15%増が期待されている」と新たに正しい主語・述語の組み合わせを作るのがよい。理想例を示してみよう。
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