キリンが巨額買収--豪州乳製品市場を制覇
キリンホールディングスは、オーストラリアの乳製品市場で圧倒的シェアを手に入れる。子会社で乳業首位のナショナルフーズを通じ、2位のデアリーファーマーズを840億円で買収。これにより牛乳シェアは37%から62・5%に引き上げられる。ヨーグルトなど主要製品でも過半を握り、同国で圧倒的地位を築き上げる。
「キリンの歴史で最大規模」(キリンHDの加藤壹康社長)となる2980億円で、ナショナルフーズを買収したのは昨年11月。しかしナ社の足元の業績は振るわない。生乳など原料高が響き、今期の営業利益への貢献額は期初計画の29億円(のれん償却後)から一転、12億円のマイナスへ転落。今回の買収で原料調達は有利になり、流通への発言力も増す。総額3800億円を投じても、同国での基盤固めは必要不可欠だった。
日本国内では酒類・飲料事業の頭打ちが続く。キリンはアジア・オセアニアでの事業育成を模索中だ。今回もその足掛かりとなる。巨額買収の真価が試される。
(佐藤未来 =週刊東洋経済)
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