現役副大臣が「小池新党入り」を決断した事情 なぜ福田峰之衆院議員は裏切ったのか

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神奈川8区を地盤とする福田氏は、選挙に極めて弱い。自民党が圧勝した2005年の郵政民営化選挙が福田氏のデビュー戦だが、追い風が吹きまくったこの選挙でも、江田憲司氏(無所属)、岩國哲人氏(民主党)に後塵を拝し、比例での復活当選だった。

民主党(現・民進党)が優勢だった2009年の政権交代選挙ではもちろん落選しているし、2012年と2014年の衆議院選では比例復活で当選したが、いずれも得票数は江田氏に遠く及ばなかった。

そこまで選挙に弱いからだろう、次期衆院選に備えて自民党神奈川県連は、福田氏の神奈川8区を「超重点区」に決定したばかりだった。

「どうりで昨日(23日)行われた自民党横浜市連の会合に、福田氏は姿を見せなかったはずだ」。福田氏離党のニュースを聞いた自民党神奈川県連関係者は、突然の裏切りに怒りを抑えきれずにこう話す。

同じ自民党神奈川県連関係者はこう続けた。「今回の福田氏の裏切りは本当にショックだ。7月30日に行われた横浜市議補選(緑区)に福田氏の秘書の樗木(おてき)彰氏が出馬して、その応援を全面的に行ってきたばかり。樗木氏は福田事務所で青葉区担当だったらしく、地元との関係が薄かった。それを必死で補おうと、我々は猛暑の中、全力を尽くして頑張った。それなのにそうした気持ちを福田氏は踏みにじった」。

だがそのような選挙区のしがらみは、むしろ邪魔ということなのかもしれない。福田氏は神奈川8区を打ち捨て、他の選挙区での出馬を模索しているようだ。おそらくは小池百合子知事の影響の強い東京都内の選挙区から落下傘で出馬すると見られている。

中山夫妻も小池新党へ

8月15日に靖国神社を参拝する中山恭子参議院議員(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

福田氏の新党入りに加え、24日は“日本のこころ”の中山恭子代表が夫の成彬氏とともに小池新党へ参加すると報じられた。同日午後、中山氏は小池知事と面談し、その意向を伝えている。

そもそも参議院議員である恭子氏は衆議院選挙に備えて新党に参加する必要はない。その意図は“日本のこころ”の看板では当選できないことが確実な成彬氏の議席をなんとしても確保したいという点にあるようだ。

これで衆議院の解散により“日本のこころ”は消滅することになる。「次世代の党」から党名を変更する時に、「日本のこころを大切にする」ことにこだわった中山氏だが、衆議院選を目前にしてあっさりと“日本のこころ”を捨て去ることになったといえる。

寄せ集めの色を濃くしつつある小池新党は、ますます理念なきものとなり、国民の思いとかけ離れていくに違いない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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