37年ぶりV2の広島カープ、今年も勝てた理由 前田、黒田が去っても連覇できたのはなぜか

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それに対し、今のカープは前田健太(現ドジャース)が抜けた昨年25年ぶりのリーグ制覇を果たし、黒田博樹がいなくなった今年連覇を達成した。

スカウティングと育成。突出した個の力に頼らないチーム作り。中心選手の相次ぐFA流失に耐え、地道に体力をつけてきた結果である。打線を含めた総合力で今のカープの方が強い気がする。

ただ、短期決戦は別物。1979年、1980年の日本シリーズで2勝ずつ挙げて連続日本一に貢献した山根和夫のように大一番に強い投手が今のメンバーの中にいるだろうか。そこは未知数。今年のクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズの楽しみにしたい。

37年前と今年、違うのはチームだけではない

そうそう、大事なことを忘れていた。37年前と今年の大きな違い。観客動員である。

前回は1979年に当時の球団史上最多となる145万4000人(1試合平均2万2369人)を記録しながら、1980年は131万4000人(同2万215人)と10.6%も減った。連覇したのに、である。

今回は昨年の球団史上最多記録、215万7331人(同2万9963人)を上回るペース。主催67試合で205万4489人(同3万0664人)を数え、1試合平均で初めて3万人の大台を超えようとしている。マツダスタジアムの指定席券はビジターパフォーマンス席以外、3月1日の発売から3日で完売。これが限界の数字だ。

マツダスタジアムだけでなく各地のスタンドを真っ赤に染めるファン。そのパワーも加味したら、今のカープの方が断然強い。

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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