アップル、新iPhoneで初「1兆ドル企業」なるか 初代を発表してから株価は1200%超上昇

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アップルをカバーするウォール街のアナリスト38人のうち、2人がすでに1兆ドル突破を見越して同社の目標株価を引き上げている。

ドレクセル・ハミルトンのブライアン・ホワイト氏は、ウォール街で最も高い目標株価208ドルを設定しており、現在の発行株式数における時価総額は1.075兆ドルとなる。12日の発表会後、アップル株は一段と上昇すると同氏は確信したという。

「アップル株が、今後のアイフォーン発表サイクルだけでなく、同社の資本戦略や魅力的なバリュエーション、潜在的な新しいイノベーションからも恩恵を受けるとの考えに変わりはない」と、ホワイト氏は顧客向けメモにこう記している。「したがって、アップル株の好調がきょうのアイフォーン発表会で終わるとは考えておらず、今後も上昇する可能性があるとみている」

モルガン・スタンレーのケイティ・ハバーティ氏は発表会後、顧客向けメモのなかで、新機種ラインナップの拡張現実(AR)向け機能に注目。「スマートフォンのアップグレードを加速させる次のキラーアプリとなる可能性があり、サービスの収益化と成長の原動力となる」と指摘している。

ハバーティ氏の目標株価は182ドル。これは、12日の終値160.86ドルを13%上回る水準だ。この設定では時価総額は約9400億ドルとなる。だが、同氏は「強気」の目標株価を253ドルとしており、その場合は1.3兆ドルを上回る。

新型アイフォーンも割高ではない

アップル株は昨年、52%上昇している。

アップルが2007年1月に初代アイフォーンを発表してから、同社の株式は1200%超上昇しており、再投資された配当を含むトータルリターンは1375%以上となっている。同期間の年率平均リターン28.7%は、ナスダック上場企業のリターンの3倍近く、S&P総合500種のほぼ4倍である。

新型アイフォーンX(容量256ギガの場合)の価格は約1150ドル(約12万7000円)と目玉が飛び出るほど高額に思えるかもしれないが、株価と比較して考えると、2007年の初代アイフォーンより決して割高なわけではない。初代の最上位モデル価格599ドルは、当時の株価で7株分を少し上回る程度で、名目値で現在とほぼ変わらない。

アップルは3年前、自社の株式1株を7株に分割した。それを考慮すれば、分割以前の1株の値段はアイフォーンXほぼ1台の価値に相当する。

(執筆:Dan Burns 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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