アマゾン「第2本社」が作られるのはここだ! ニューヨーク・タイムズ紙が独自に選考
選定基準その2:技術者・専門職層が厚く、かつ成長中
アマゾンは、能力のある技術者が大勢必要であることを明確に示している。同社は最終的には5万人を雇用する。しかも、物流倉庫で働く人ではなく、幹部やソフトウエア技術者、法律や会計の専門家などが必要となる。
ここでの判断基準は、労働者8人に1人が、テクノロジーやサイエンス、または専門サービスに関連した業界で働いていることとし、人口調査のデータを基に判定を行った(この数値が「5人に1人」の都市もあった。ノースカロライナ州ローリー、カリフォルニア州サンフランシスコとサンノゼ、ワシントンだ)。
また、アマゾンが特に興味を持っている人材、ソフトウエアのプログラマーとデザイナーの層が大きく成長していることも基準とした。この点に関しては、ブルッキングス研究所による分析を用いた。アマゾンは人材の採用を念頭に、近隣に有力な大学があることも条件としているが、現時点で残っている都市はすべてこの条件を満たしており、コンピュータサイエンスの学位が取れる大学も存在する。
アマゾンはまた、そうした人材にとって魅力となるような街を求めている。簡単に言えば、若くて能力のある人たちが好むような機能を備えており、彼らが経済的に問題なく住めるような場所だ。
家賃がお手頃で、先端的な文化も欲しい
選定基準3:生活の質が高い
ここでいう「生活の質」は、主に2つの点に関係する。それは、住宅コストと周囲の環境で、両者のバランスがうまく取れていることが重要だ。サンフランシスコ周辺は生活費が非常に高くなっており、年収10万ドル以上のテクノロジー人材でさえ今では敬遠している。したがって、サンフランシスコはここで脱落となる。
ニューヨークも、人口調査の家賃の中間値を見ると住宅費用が高いことがわかり、この基準を満たさない。ボストンもやや高いが、テクノロジー系人材の点で非常に評価できるので、ここでは残しておく。首都ワシントンも高いが、もっと住宅費用の安いボルティモアが鉄道で通勤できる圏内にある。加えて、ジェフ・ベゾスがワシントンで「質の高い生活」を手にしている。彼は今年、2300万ドルの邸宅を購入したのだ。
居住環境に関して見てみると、勝ち残っている地域にはレストランやアウトドアでのレクリエーションの場所が備わっており、文化的な施設や、アマゾンの最初の本拠地であるシアトルのようなカッコよい雰囲気などもある。都市経済学者によると、都市の魅力を語るうえでは、こうした要素が重要だという。
本紙はエコノミストのデービッド・アルブイに依頼し、彼が用いている指数を使って候補となっている都市をランクづけしてもらった。その指数は、望む場所に住むために、人々がどの程度、住宅コストや通勤などの面で妥協できるかを示すものだ。その結果、ノースカロライナ州のシャーロットとインディアナ州のインディアナポリスが除外されることになった。なぜなら両都市は、教育のある若者が好むような、先端的な文化の点で順位が低かったからだ。