東大野球部が「4対3」での勝利を目指す理由

勝利の方程式、それは「頭脳プレー」ではない

浜田一志監督のアドバイスに耳を傾ける山田大成主将。山田主将は「『頭脳プレー』と言う前に、まず単純な野球そのものの力でぶつかれるところまでいかないと、勝てない」と話す(撮影:尾形文繁)

山田は94連敗中、「1度も勝てていないこのチームでやっている練習は、本当に勝利に向かっているのかという不安があった」と打ち明ける。

しかし、「より強く振る」「より強い球を投げる」「より速く走る」といった根本的な能力を向上させることが勝利に直結すると考え、ウエイトトレーニングや基本練習を繰り返した。

なかでも山田が取り組んできたのは「より強く振る」ことだ。「もちろん、『この投手はこのカウントではこの球を投げてくる』といった対策もします。でも、直球を打ち返せないのに対策ばかりに力を入れても意味はありません」と山田は断言する。

2015年春に連敗を止めた法大1回戦では7回に1度逆転されたが、8回に追いつき、延長に入って勝ち越して6対4で勝った。山田はその試合を振り返る。「浜田監督の指導で基本を反復してきたという自負があったので、逆転されてもズルズルいかず、『取り返そう』と踏ん張れた。あの1勝で、自分たちがやってきたことが勝利につながると確認できました」。

「彼らには努力を続ける才能がある」

浜田監督は言う。「今は10試合に1度勝てるペース。でも、彼らにとっては大きな結果なんです。94連敗中は暗闇のなかにいたけど、今はこうすれば結果が出るという階段が見えています。だから選手たちはモチベーションを保ち、努力を続けられる。彼らには努力を続ける才能があるんですよ。見た瞬間に問題が解ける天才ではない。ほとんどの東大生は問題が解けるまで努力を続けてきたんです。受験勉強では参考書をコロコロ変えても結果が出ないことが多い。これと決めた一冊を最後までやり切り、それを何度も繰り返す方が力がつく。野球も同じ。やり続けることが大切なんです」。

浜田監督はこうして個人のレベルアップを図りながら、チームとしては「4対3」で勝つ野球を目指している。

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