日経平均株価の2万円回復はいつになるのか 外国人投資家の動きは今春の状況と似ている
一方、年金基金の動向を映すとされる信託銀行の動向は4週連続で買い越しており、日本株は売り一巡感も台頭している。例年、海外勢は例年秋から年末にかけて、日本株を買い越す傾向がみられる。現状、外国人投資家の動きと相場の動きは春と似ており、海外勢が例年と似たような動きをするなら、ここから日本株は上昇することも考えられる。
当面の好材料は出尽くした
ただ、ここからの戻り余地は限定的だろうと筆者は予想する。前週末に、懸念されていた米国の連邦債務上限の引き上げ問題が議会で当面の決着を見たうえ、同国でのハリケーンの被害予想額も、当初想定よりも限定的にとどまり、景気の下押し懸念も後退した。さらに、9月9日に建国記念日を迎えた北朝鮮がミサイル発射などの挑発行為に出なかったことも、市場参加者に安堵感を与えた。つまり、当面の好材料がすべて出尽くした感があるからだ。
11日に、国連安全保障理事会が北朝鮮に対する追加制裁を採択したが、当初米国が意図したほど厳しくはないとはいえ、初めて北朝鮮への石油の規制に踏み込み、北朝鮮の挑発行動への懸念は依然くすぶり続けている。
また、信用売り株数を売買高で割った東証の「空売り比率」は前週に一時45%まで高まっていたものの、足元では37%まで低下している。東証1部売買代金が2兆円前後とさほど増えてないことから見ても、新規の買いで上昇したというよりも、買い戻しで上げたというほうが正しそうで、一段の上昇材料は今のところない。日経平均2万円を目の前にして、ここからさらに上昇するかどうかはあまり楽観的にならないほうがいいかもしれない。
視覚的にわかりやすいテクニカル指標である、移動平均線から見た相場の方向性や節目も確認しておきたい。足元の日経平均株価は短期投資家の損益分岐点とされる25日線1万9543円(12日時点)を約1カ月ぶりに上回った。しかしながら、中期投資家の損益分析点とされる75日線の水準1万9861円(同)には届いていない。さらに移動平均の向きは相場のトレンドを示すと言われるが、75日線はまだ「右肩下がり」を続けており、当面の相場は上昇と読むにはまだ早いかもしれない。この75日線の水準は戻りのメドとして意識されそうだ。
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